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今週の台所・東京渋谷の『かつお食堂』

『セブンルール』という番組がある。毎週火曜日夜11時、カンテレ・フジテレビ系で放送されている番組だ。有名人の回もごくまれにあるけれど、主に一般の方でそれぞれの業界で活躍している女性の方に密着していく。「セブンルール」、その番組の名前の通り、密着する人たちが実践している7つのルールを解き明かし、同時にその人たちの人生にも迫っていく番組だ。

おととしの7月、番組では東京渋谷にある『かつお食堂』の店主・永松真依さんに密着した。その回がとてもおもしろかった。

かつお食堂のメインは、削りたてのかつお節ごはん。放送では「かつおを全身で受け止めたい。かつおになりたいんですよね、本当に」とコメントされている姿や、営業中、かつおのことを語り続ける姿が映し出されている。でも一方で、かつお節の生産者さんを訪ねるときは、生産者さんの声にずっと耳を傾ける姿も映し出されている。永松さんが今の道に進むきっかけになったのは、福岡に住むおばあちゃんを訪ねたときのこと。おばあちゃんのかつお節を削る姿が美しかったからだそうで、永松さんのルールの一つには、年に一度、おばあちゃんに自分の削り姿を見てもらうというものもあった。

番組を見て、どんな人なんだろう、どんなお店なんだろうと、ずっと気になっていた。そして今週、ついに行ってきた。

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お店は、渋谷の鶯谷町にある。ネットで事前にチェックしたところ、「並んだ」「○時間待った」という言葉が目立ち、どれだけ待つのだろうと心配だった。けれど今回は、本来休みだけど、正月休みがあった影響で振替的に営業していた平日の10時半ころ行ったおかげか、待たずに座れた。

その日は、かつお節をのせたごはんとお味噌汁とお漬物で1000円というメニューだけの日。たまごは200円でセットでつけられるということで、たまごをつけて注文。

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ごはんにのせるかつお節は、提供される直前に目の前で削ってくれる(写真を撮る角度が悪かった…)。

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食べる直前に削ってくれたかつお節は、口に入れた瞬間とけていく。そのままかつお節とごはんだけで食べてもおいしいし、お醤油をちょっとかけて食べてもおいしい。

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ふわふわでやわらかく並々と茶碗に盛られたかつお節は、とてもぜいたくな感じがして、なにもかけない味、お醤油をかけた味、それぞれを楽しみながら味わう。そして、かつお節という素材のシンプルなおいしさを感じて、かつお節にごはんなんだ、こういう食べ方もあるんだ、とおどろいてしまう。ごはん、お味噌汁、漬物という組み合わせはシンプルだけど、でもそれで完結していておいしい。

今回提供されたかつお節は、鹿児島県枕崎市の金七商店さんのかつお節。お店には、生産者さんの写真が壁に貼ってあって、紹介文も置いてある。

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かつお節ってどうやって作るのだろう、とかねてから疑問だったけど、あえて調べることはしなかった。でも今回、目の前で削ってもらって、生産者さんの顔が見えて、あの硬いかつお節はどうやってできるのだろう、かつお節ってどこで作られるのだろう、といろいろなことが気になって調べ始めた。永松さんは「鰹節伝道師」を名乗られているそうなのだけど、ほんとうにその言葉通り、かつお節に興味を持った今回の訪問だった。

私は、ほぼ毎日自炊はしていた。でもどこか、栄養を摂れればいいと、ごはんを日々かきこむだけなところがあった気がする。素材の味を活かした今回のごはんを、おいしいおいしいと食べている自分に気づいたとき、もっと素材の味を活かすこと、味わって食べるということを大切にしたいなあ、と切に思うのでした。

そして、かつお節削り器がほしいなあとぼんやり思っていたけれど、今回まじめに欲しくなったなあ。お金を貯めて一生使う削り器を買って、おいしいかつお節を削ってみたいなあ、そしてごはんにかけて食べてみたいなあと思うようにもなったのでした。

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