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浅葱裏(あさぎうら)とは?

浅葱裏は、緑がかった薄い藍色(浅葱色)の木綿を使用した着物の安価な裏地のことです。

浅葱色も藍で染まる色ですが、藍染は染める回数によって色の濃さが変わり、色名も変わります。
当然、染める回数が多いほど高価になります

染色作業を繰り返すことでできる色名の代表的な色は以下の通りです。
1回染めは藍が入った甕(かめ)をちょっと覗いた程度という意味で
「甕覗(かめのぞき)」
2〜3回は「水浅葱」
3〜4回は「浅葱」
7〜8回は「縹(はなだ)」 
9〜10回は「納戸(なんど)」
16〜18回は「紺」
19〜23回染めはもっとも濃い「鉄紺」さらに「褐色(かちいろ)」のように濃くなっていきます。

つまり、浅葱裏(水浅葱、浅葱色など)は安価な染めを意味し、貧乏侍を象徴する言葉でした。

江戸時代に国表から江戸表に参勤した貧乏な田舎侍や下級武士を揶揄して、町衆は浅葱裏と呼びました

吉原の遊女たちからも馬鹿にされるほどの貧乏で野暮な侍の俗称です。

例えば土佐脱藩浪士だった坂本龍馬も江戸では、おそらく「浅葱裏」と呼ばれたのでしょう。

そういえば、ドラマ『仁-Jin』で龍馬が花魁の野風さんを口説いた時、野風さんは「浅葱裏は嫌でありんす」と龍馬をふってましたね。(笑)

#和文化デザイン思考 講師
株式会社京都デザインファクトリ

成願 義夫


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