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考察ブーム

TBS日曜劇場「VIVANT」の考察が一大ブームとなっている。日本中の老若男女がドラマの結末に向けて自分が思うストーリーが正しいのか違っているのかを考えながらSNSに投稿する。考えることは良い刺激となり生活での潤いにも繋がるようだ。今となっては「考察」という言葉自体が誰もが知る確固たる存在となった。
この「考察」だが私の中では元々の言葉は「推理」だ。昔からドラマを観ながら推理を働かせ周りの人と犯人は誰だとか、この先誰と主人公が結ばれるかだとか、会話の中でわいわい互いの正論をぶつけあっていた。

一方「考察」となるともう少し高度な意味合いを持つように思える。ではいつから私の認識が「推理」から「考察」へと変わって行ったのか! それは「テセウスの船」というドラマがきっかけだったのではと感じる。

日曜劇場『テセウスの船』|TBSテレビ
2020年1月から3月までの冬ドラマ、日曜劇場「テセウスの船」
時代を超えた父と子の奇跡、 ー平成元年、父は殺人犯になったー


主人公、田村心(竹内涼真さん)が殺人犯に仕立て上げられた父・佐野文吾(鈴木亮平さん)の無実に気づき当時にタイムスリップして真犯人を突きとめるドラマだった。この時にはTwitter(現・X)も利用者がかなり増えていた為ドラマの制作チームが新たな手を打った(と、私は今も思っている)。

(多分、)制作スタッフ、もしくは契約グループが登場人物ひとりひとりのTwitter・IDを取得しアイコンも登場人物の顔でTwitter上に現れた。視聴者がフォローするとフォロー返しもしてくれて、話しかけると返信もあった。たまにtweetしてくれて、ドラマの進展で悩む頃にはなにかヒントを与えてくれたり、視聴者を導いてくれるとても頼もしい相棒で居てくれた。当時は多分10人以上の配役のアイコンが存在していたと思う。
私たちはそのアップされたtweetの返信欄で推理しながらどこの誰かもわからない人たちと仲良く話し合っていた。私にとっては多分これが「考察」の原点だったんだと思っている。

ドラマは3月末に最終話を迎えたけどこのTwitter・IDは1年以上消えずに時々新たな呟きを続けてくれていた。その後律儀にご挨拶した後に徐々に削除されていき今はもう残っていないけど楽しい思い出になっている。
「考察」といっても真犯人探しだけではない。昨年秋ドラマの「silent」のように主人公の紬が誰と最後に結ばれるのかという恋愛論を皆が一生懸命語り合っていたものもある。想なのか、湊斗なのか、紬はどちらと一緒に居る方が幸せになれるのか、若い人たちは自分と重ねて考えていたと思う。

今日、ほんとに偶々YouTubeで「VIVANT」の考察動画を見てしまった。自分がまだ気づいてない部分にまで丁寧に映像と解説と文字が伝えてくれている。聴きやすい声で伝えたいことも直ぐにこちらに入ってくる。人によってはYouTubeで知ってから本編を見直すことを選ぶ人も居るだろう。
でも私は自分の気づきを大切にしたい方なので、シーンなど何かがきっかけで「あっ、!」と思える閃きのようなものを人の手でではなく自分の直感で楽しみたい。だから人より発見は遅くなるかもしれないけど何度か観返しながらの楽しみ方を選びたいと思った。それにしてもここまで考察ブームを作り上げたドラマ界も凄いし、その先頭をきってみんなに歓迎されている名作を作り続けている日曜劇場も素晴らしいと思う。

昔に「ドラマのTBS」という言葉を聞いたことがある。日曜劇場とは私が幼い頃からずっと在る日曜9時の名物ドラマ帯だ。1967年の東芝日曜劇場で池内淳子さんや長山藍子さんが出ていた「女と味噌汁」を憶えている。当時では初のカラーVTRドラマだったらしい。森光子さんの「天国の父ちゃんこんにちは」とか、眠い目をこすり見ていた幼い頃の自分が頭に浮かんでくる。
この日曜劇場の延長戦上に在るのが壮大な映画的ドラマ「VIVANT」なんだと思うと尊敬も含め、感慨深い。ずっと生みだし続けることがどれだけ大変かと思うと局と制作陣の努力、作品の成長と進化が素晴らしいと思う。

「VIVANT」に話を戻すと、通常の連ドラに使えるお金が1本3~4千万に対して1本1億円という予算を組んでいるそうだ。だからモンゴル2か月の長期撮影、しかも主役級の俳優を横並びに揃えて制作することができる。
このドラマが視聴率や配信数などの数字を書き換えて海外にも買われるようなドラマと認められたら次もまた同様の作り方ができるだろう。今までの洋画の壮大さは日本の作品では難しいのかと思っていたけど「VIVANT」を観ているとそうではなく、単なる金銭的な制限が大きかったんじゃないかと思える。海外に輸出できるような本格的な作品をたくさん生み出し新たな収入源になってくれればいい。そしてまた次の作品の原資にもなれたら。
私たち視聴者ができることは考察という楽しみ方を与えてもらってSNSを賑わわせ、まだ観ていない人への働きかけができ、観たい人をもっと増やして行ければいい。

「VIVANT」は昨日6話まで進んだので、残りは4話か5話分。進んでほしいけど終わってしまう。もう少しあの砂漠と駱駝を観ていたいような気持が半分ある。シーズン2や映画化など次に繋がれば嬉しい。
「公安」「別班」「テント」いったいどれが正義なんだろう! 真の目的は日本を守ることだけか、どれとどれが組むんだろう、どれが消滅するんだろう。電車の中、歩いている時、料理中、湯船の中、頭が空っぽで何もできない時が考察タイムになる。いろいろ考えているのが楽しい。
このドラマのおかげで考察ブームにしっかりと乗っかっている。

YouTuberさんは考察のプロなので見ないけど普通のコメント欄の玉石混淆した意見を知るのは好き。それを読み分けるのも楽しい考察のひとつに思う。

TBS 「VIVANT」のサイト
はじめに|TBSテレビ 日曜劇場『VIVANT』
「敵か味方か、味方か敵か―冒険が始まる。」

「VIVANT」X(旧・Twitter)
日曜劇場『VIVANT』8/27よる9時第7話!(@TBS_VIVANT)さん / X (twitter.com)

1~3話 と直前話 は TVerで。
全話観たい人    は U-NEXTで。

2023年9月29日 追記
VIVANTの放送が終わった。
本当は7話までを視聴後毎回自分なりの考察を書き留めていくつもりだった。それができなくなり、最終話まで放送、今は続編の有無の話になっている。元々シーズン3までのドラマの流れが考えられていたということなので2025年夏ドラマとして再開されることはほぼ決まっているんだと思う。
2025年に憶えていたらこのnoteの続きをまた書きたい。

シーズン2があれば、多分、
ベキとバトラカとピヨは亡くなってはいない。(別班の4人と同じ)
新庄は海外逃亡後テントへ。(最終話でベキへの絶対的敬愛が見えた)
野崎とドラムのコンビは不変。(どうしてコンビなのかの理由は謎のまま)
ノコルはもう出てこない。(役柄的にもテント部外者になってしまった)
チンギスは何かのアクセントとして出演。(レギュラー外、回想か電話)
相手はどこかの国の政府内。(日本 / 上原内閣官房副長官含む)

9月からモンゴルでもVIVANTが放映されているらしく、向こうの視聴者の評価が気になっている。

2024年5月16日
考察についてまた考えている。
昔は推理小説を読み、推理ドラマを観て犯人を捜すのが見る側の楽しみだった。今は事件だけではなくその犯行はなぜ行われたのか? 他人に見えるこのふたりの本当の関係は? どこかに過去の接点はなかったか? 本当に犯人か、誰かを庇っているのか? 事件だけではなく主人公は何故この人と結婚したのか? 誰を守りたいのか? いろんな場面の隠れた真実や心の動きを想像してそれが正しいかどうか人と確認し合うような時代に入った。

これはSNSの普及が大きいだろう。年齢性別問わずコメント欄が賑わっている。経験者、無関係者が話を交差しドラマの結末を知ろうとする。自分の考察を披露したい人、ただ読むだけで自分の考察と比較することが楽しい人、家族や友人との会話のネタにしたい人、いろんな人が興味を持つことで考察ストーリーは益々人々の生活に入り込み大きな存在になってきた。

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以下、ホーム(ORICON NEWS <Drama&Movie TOP <ドラマ
2023-12-05 11:35ORICON NEWSより引用

“考察ドラマ”人気は日テレ&TBSの2強、検索1位は『あな番』 『VIVANT』や『最愛』も上位に | ORICON NEWS

【「考察」と共に検索されたテレビドラマタイトル】
(2019年1月1日~2023年10月31日の総検索回数)

1位:あなたの番です 考察(2019年4月)
2位:真犯人フラグ 考察(2021年10月)
3位:VIVANT 考察(2023年7月)
4位:最愛 考察(2021年10月)
5位:マイファミリー 考察(2022年4月)
6位:天国と地獄 ~サイコな2人~ 考察(2021年1月)
7位:テセウスの船 考察(2020年1月)
8位:最高の教師 1年後、私は生徒に■された 考察(2023年7月)
9位:unknown 考察(2023年4月)
10位:ニッポンノワール-刑事Yの反乱- 1 考察(2019年10月)


トップのイラスト Photo byarayan12 さんにお借りしました。


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