見出し画像

ブラックペアン追っかけ考察note

「心臓はうつくしい!」
私が考える春のベストドラマが「アンチヒーロー」なら夏ドラマのベストは絶対に「ブラックペアン2」だ。私は 俳優・二宮和也 をアイドルとしてではなくもの凄い俳優だと以前から感じていた。ミュージカルや舞台の俳優ではなく映画やドラマ向きの俳優、元々の色が無くその場の台本を見た瞬間その本の色に染まる人に見える。
何かのインタビューか記事かよく憶えてないけど台本は覚えず当日に入れて演じ終わったらすぐ自分に戻れる、というような話を知った。私はその時 なるほど! だから・・・ と思った。

アイドルという目で見ている人は俳優としての二宮和也を見る前におかしなフィルターを通して見てしまうから「そんなに演技上手か?」っていう発言もよく目にする。私はサザンが好きだけど「そんなに桑田佳祐って歌上手か?」って言う人たちと同じだと思う。ピカソはどう? ちゃんとした絵を描ける腕があってこそあの崩した絵が完成する。しっかりじっくり見ると本物かどうかは見えてくる。演技も歌も絵も素人だけど私はそう考えている。
どんな役でも演じられる二宮和也さん、どんな歌でも作って歌える桑田佳祐さん、どんな絵でも描けるピカソ氏、同列に書いて良いのか良く判らないけど、きっと他にもたくさん居るんだろうけど私が気になる天才たちである。

私が二宮さんを注目し始めたきっかけは2006年「硫黄島からの手紙」だった。クリントイーストウッドが監督となり作られた日米合作映画で二宮さんは西郷という日本軍兵士を演じた。それまでは嵐の中でも比較的地味な存在に見えていて特別な印象も無かったのでこのアイドルとほど遠い兵士役が尚更心に留まったのだった。名前が「かずや」ではなく「かずなり」だというのもこの頃に知った。
最近だと2022年「潜水艦カッペリーニ号の冒険」の速水洋平少佐役、「ラーゲリより愛を込めて」での丸メガネ軍服姿の山本幡男役は嵐のきらきらのステージを知ってると180度違って地味過ぎるくらい地味に作っている。歌う方も私が思った以上の活躍ぶり。同じく2022年に「〇〇と二宮と」というカバーアルバムを出していてこの人こんなに歌上手だったんだ!と初めて知った。自ら作詞作曲しJASRAC登録している楽曲も調べると数十曲あった。私の知識以上に役者でありミュージシャンだと判った。

私は60代だけど幼稚園の頃から日曜劇場を見ていた記憶がある。当時は今は亡き池内淳子さんや森光子さんが主役を務めていた。日曜劇場と言えばドラマの中では名門中の名門、NHKの大河や朝ドラに匹敵するドラマ枠だと思うが、その枠に二宮和也を見ることが多い。
2018春「ブラックペアン」、2022年春「マイファミリー」、2023夏「VIVANT」、2024夏「ブラックペアン2」と続く。嵐の活動休止後の2022年に俳優二宮和也はワンステージ上がったんだと思う。更に、2025年にはNHK朝ドラ「あんぱん」で主役柳井嵩(≒やなせたかし・北村匠海さん)の父親役柳井 清を演じると発表されている。

私は俳優二宮和也を追いかけドラマや映画を観ている。見つけたら観る、映画館にも行く、が、それでもまだ全部ではなく、このブラックペアンの2018年のシリーズは見ていなかったことに気づいた。シリーズ2を見始めるとすごく面白い。どうして私はこのドラマを見逃していたんだろう、渡海編を観たい!と思って探したらAmazonプライムで見つけることができた。天城編を2話まで観たあとに渡海編を一気見した。
天城幸彦はフランスで育ち髪の毛が銀髪。自らを「神に愛された悪魔」と呼ぶ心臓外科医、自分の腕に自信があり手術を受けたいなら全財産の半分を支払うこととコインの裏表を当てることで手術をするかどうか決める。自分のことを「僕」と呼び、にこやかに話す言葉もウィットに富んでいる。一方渡海征司郎は日本で育ち髪の毛は黒い。「オペ室の悪魔」と呼ばれ同僚医師の手術の失敗を「一千万でもみ消してやるよ」と交代し患者を救う。自分のことを「俺」と呼び「じゃま」が口癖。こちらも手術の成功率は100%。世界で佐伯式手術ができるのは佐伯以外には渡海だけ。

似て非なる渡海と天城。渡海編も天城編も第一話からこのふたりは佐伯教授と深い繋がりがあるように見えた。天城編を8話まで観て天城と渡海が双子であることと離れて暮らしていた理由を知ると最近の天城編さえ観直した時の感動が増す。渡海編も観直していると更にこのドラマが興味深く面白くなった。渡海編を観ながらこの note を書いている。

天城幸彦と渡海征司郎は双子で父親は渡海一郎、母親は渡海春江。渡海一郎は佐伯教授を盟友として信頼していた。或る日の佐伯の手術、患者(飯沼達治)を生かすことができない手術に佐伯はやむを得ずペアンを患者の体に居れたまま縫合することで手術を成功させた。やがて佐伯は医療支援でアフリカに渡る。その間再度飯沼は渡海の病院に搬送され、手術に当たったのが一郎でその際のペアンが写ったレントゲン写真を黒崎に知られてしまった。一郎は病気で自分が残り少ない命であることを知っていた為執行医は自分だと嘘をつき佐伯のことを庇ったまま病院を追われてしまった。(←見直し後加筆訂正)

渡海家には双子の男の子がいた。3歳の時征司郎は心臓の手術を受けるがその命の為に幸彦の心臓の一部を移植することになる。これは違法行為であり、それを隠すように健康な幸彦が天城司医師の養子となってフランスに渡る。その後幸彦も多発性冠動脈瘤を患い病を持ちながら生きることになる。
8話の終わりでは幸彦は実家を訪れ母の死を知る。更に自分に双子の弟がいることや3歳の時の手術の際の真実をその場に現れた佐伯に知らされる。これは天城にとっては人生最大の衝撃だっただろう。心因的負担が心臓を圧迫し天城は桜の木の下で倒れたのではないかと思う。

シーズン2、8話の最初に佐伯は渡海と電話で話していた。佐伯と渡海はずっと繋がっていたから渡海は医師になれたんだろう。佐伯は天城編でもオーストラリアに世良に手紙を託していた。新病院のセンター長に天城を就けさせる為に手紙を渡すまでは日本に戻らなくても良いという至上命令まで下していた。
佐伯はブラックペアンのキーマンであり、渡海と天城を幸せに生きられるように手助けしないといけない使命すらある身だった。佐伯自身も渡海編で心臓手術を受けまだ完治していないし渡海にしか治せないと言われている。佐伯は自分が生きている内に新病院を建てたいと思っていた。佐伯にとって病院建設は自らの命を守ることと共にこのふたりを引き合わせ互いの命を守り合わせることが目的であり願いなんだろう。(自らの命は自分だけの為ではなく佐伯式手術で助かるであろう今後の大勢の心疾患者の為と考える)

幼い頃に心臓手術を受けた天城と渡海。新病院スリジェ(桜)にふたりが居ることがふたりの命を守る唯一の方法だと佐伯は考えていた。その為にふたりを手の届く場所に置き人生をかけ天才医師に育てあげたのだろう。その願いが叶うかどうか、あと2話ですべてが判る。難しい性格に育ってしまったふたりが意を合わせ共に歩むことができるかどうか、来週と再来週の見どころとなる。まずは渡海が天城を救い、次に天城が渡海を救い、最後にふたりで佐伯を救う、そんなシナリオは当たり前すぎるだろうか。でもそうなってほしい。
二宮さんが何日か前にクランクアップのポストをしていたからもう結末は固まっている。あと2話、最終話が待ちきれないほど楽しみなドラマだ。

二宮さんが演じているからか、天城も渡海も本物の悪魔には見えない。患者を最後には助ける。死なせない。命をとことん守る為準備は怠らない。患者の生き様を知っていてその人の生活をぎりぎり脅かさない。貧しい人には救いを与える。そして自分が居なくなる時の為に世良を育てている。二宮さんだからこそ伝わってくる冷酷さの後ろにある温かさがちゃんと見えている。

二宮さんはドラマの初回前に前回と人物が違うのでやりやすいと話していた。でも実はとんでもない難しい役を演じていた。元々双子で同じ血が流れていて時として知らず知らずに似ている面を持ちながら別々に育つことでまったく違う性格に成り得る。やりやすいどころか天城の表情も仕草も話し方も常に渡海の存在を意識して演じないといけなかった。それを言わずに秘かに計算していたなら相当な努力家であり、感覚的に演じ分けていたなら天才的な俳優だと言える。この飄々とした俳優が10年20年後にどんな役柄どんな演じ方をしているのか、長く観続けたい。ずっと俳優でいてほしい。

スポニチ Sponichi Annex 2024年9月2日 09:30 より
ブラックペアン2 監督が語る二宮和也の魅力 「アドリブ」に製作陣驚く「期待に応えるより超えてくる」
ブラックペアン2 監督が語る二宮和也の魅力 「アドリブ」に製作陣驚く「期待に応えるより超えてくる」― スポニチ Sponichi Annex 芸能

タイトルのお写真、お借りしました。Photo byfuten_seisukeさん

当日 追記

シーズン1の第6話で母春江さんが出てきた。春江さんも心臓手術。シーズン2の第8話で春江さんの死を知った。渡海は最期に母と会えたんだろうか? 父と佐伯のいきさつを理解できたんだろうか?
天城は母と会えなかった。母も大人になった雪彦を知らずに逝った。それを考えていたら切なくて涙が出ていた。後日、渡海編の7話からまた観よう。双子の別れ方を知ると天城と渡海と佐伯の表情に何もかもが繋がって余計に切ない。「 JIN ‐仁‐ 」に匹敵する医療ドラマだ。(なぜか、竜馬さんが)

疑問が1つ浮かんだ。どうして双子なのに片や征司郎で片や雪彦なんだろう? 父親の名が司だから。母親が春江だからか。さして疑問とは言えないんだろうか???

シーズン1最終話、渡海が佐伯に伝え一礼した時の言葉はこれだった。そのままでいい 普通でいい 
医者は患者のことだけ考えろ
救え ただ人を救え    (渡海一郎)

俺の尊敬する医者の言葉です(渡海征司郎)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?