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秋田、善き旅

2022年9月、6泊7日秋田での思い出。
私は三重で生まれ育ち東京で暮らしている。三重で暮らしていた時には旅行と言っても東京止まりでそれより北に行くことはほぼ無かった。東京に出てきてからも西には行くけど北に上がる理由もなく東海道新幹線ばかり。現在60代なのに秋田県に初めて行ったのは2015年だった。
2011年7月、高橋優という秋田県横手市生まれのシンガーソングライターを偶然知って親子でライブに行くようになった。高橋優さんが少子化により秋田が将来消滅するかもしれないという危機感を持ち2016年から毎年秋田13市を巡るフェスを企画し、その前哨戦のような秋田フリーライブを2015年に秋田市近くの広場で行った。日本中から秋田に人を集めようという県も市も協力体制の大々的な、歌の、しかも観覧無料のイベントだった。

私は友人を誘って宿無し夜行バス0泊3日の強行スケジュールで生まれて初めて秋田の地に降り立った。東京駅から秋田市まで夜行バス10時間、こんなにバスに乗り続けたのは初めてだった。
たった一人のデビュー数年のシンガーソングライターのフリーライブに5000人が集まる広場を提供し近くの会館ではかなりの出品数のアーティストや作品関係の展示がされていた。ステージ上には市民が演じた歌や踊り、太鼓やなまはげも出てきたし、県知事も挨拶に上がり、アーティストの父上も秋田民謡を歌ってくれた。秋田が一丸となったような圧倒的な熱を感じたことがきっかけで翌年からそのアーティストのフェスに行くようになる。
今も続いている「ACMF」だ。秋田キャラバンミュージックフェスの意。私はこの年から毎年一度友人と誘い合って秋田に行くようになった。

何年か秋田に行き続けて思っていたのはフェスの為に行くとフェス以外に観光をする機会が無いということ。土日2日間のフェスだと開催地は毎回変わるが知らない地に突然行って足も無く、結果会場とホテルと最寄り駅近辺しか知らない旅で終わってしまうことになる。フェス自体もコロナ禍延期が続きやっと再開された昨年秋、せっかく行くなら思いっきりゆっくり時間をかけて秋田を観てこようという気持ちになっていた。2022年の開催地は秋田に在る大館能代空港横の広場なので行きは飛行機、帰りは秋田駅から新幹線というコースが浮かんだ。なら空港近辺に2泊、秋田駅の近くに4泊という贅沢旅な旅を企てよう! 今まで行きたくても行けなかった所に行って、食べたくても食べられなかった物を食べたい。

9月のフェスの為に6月から飛行機のチケットを取り、7月にホテルを予約し、8月には新幹線チケットを買った。すべて早割を使っているので行き当たりばったり予約よりかなり安い。おまけに出発月に大館能代空港発着便の証明をネット添付すると1便につき5,000円のキャッシュバックがあった。行きの便だけだけど帰宅後手続きをしたら後日振り込まれていた。先々の予定が立っていたなら情報をフルに使ってのお得な旅を企画できた。
6泊だとかなりの大荷物になる。空港近くの2泊と秋田市内4泊をそれぞれ連泊にしたので最初の2泊分は機内持ち込みサイズ、秋田のホテルには4泊分の荷物をボストンバッグで宅配送付した。飛行機が午後便だったので出かける直前に宅配に出したら2日後のチェックイン前に届く時間指定できた。
これで手荷物がかなり小さく楽になった。宅配ってありがたい。いつもは食材のお取り寄せでの利用が多いけど、日本中に荷物を運んでくれるクロネコさんが秋田ではいつも以上にありがたい存在だった。特にうちのマンションはクロネコさんが取りに来てくれるのでドアツードアのような便利性がある。重すぎて5mも持って運べないほどの大きな荷物、感謝しかない。

土日の大館能代のホテルはほぼフェスで終始したけど秋田市ホテルでの観光はまったくの空白で行ってからどんな風にでも過ごせる。秋田ひとり旅のつもりだったけどその間に初めて逢う人がたくさん居て、秋田県民の人懐っこさもあってとてもひとり旅とは思えないふれあい旅に変わっていった。高橋優さんが紹介してくれた「なまはげのおくりもの」、高橋優さんに生まれた地の「山内焼きそば」、秋田でしか買えない「バナナボート」、養蜂家の「お手製レモネード」、秋田市飛び込みで食べた「比内地鶏親子丼」など念願の食べ物を次々制覇してきた。
大館能代、横手市の他、なまはげ電車に乗り男鹿の「なまはげ館」、秋田の千秋公園「久保田城御隅櫓」、大きな蓮池で蓮の花を初めて見て、秋田県立美術館で藤田嗣治展「秋田の行事」を観て、「ねぶり流し館」で竿灯を実際に手に載せ、「赤れんが館」で昔の銀行の建物を拝観。この間30人近くの地元の人の秋田弁を聞き「あー、秋田だ」とこの旅を満喫できた。今も交流がある人たちも居るし一期一会の人も居るので note で記録できることがとても嬉しい。昨年書いたnoteなので今読み返すと忘れていたことも思い出す。

旅の魅力は知らない土地で初めての景色を観られること、その地で暮らす人たちとの会話、地方の訛りや暮らし方を教えてもらえること、観光地でその土地の昔を知ること、食べたことの無い物を食べ空気の味まで知ること、初めての物に触れ体感すること、目で見てスマホで写真を残すこと、帰ってnoteに書き留めること、時を超え読み返し再び脳内旅に出かけること。
家を出てから帰るまでが旅とよく言われるけど、私は思いついて計画立てての旅、帰ってnoteに記すまでが旅だと感じる。秋田は善い旅だった。

ことりっぷ企画#わたしの旅行記を書こうと思ったけどこの秋田旅を超える旅行をそれ以降していない。昨年書いたマガジンを短く纏めてみようと思ったけどどの思い出も素敵すぎて端折ることができない。なのでここにすべてをマガジンとして貼り付けようと思う。時間が有る方はぜひ読んで私の秋田旅の同行者になってほしい。(6泊7日旅は読むだけでも結構長いです)

2022年9月16~22日の6泊7日秋田への旅 note マガジン

秋田はきっといい日になる|すぎもとかよこ|note

#わたしの旅行記

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