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『復活!マル激ライブ』に自分自身を共振させる

『復活!マル激ライブ』に行ってきました。
去年の12月に開催予定だった『年末恒例マル激ライブ』が宮台先生の襲撃事件により延期になりましたが、無事開催されました。
約800名ほどがキャンセルせずそのまま参加されたそうで、人気の高さに加え宮台先生を想う人達が多かったのだと想像します。
襲撃犯の意図はもうわかりませんが、宮台先生の凄味はますます強まったように感じました。

今回のライブで感じたことをキーワードにして並べてみます。

仲間以外はみな風景
みんなそうしておられます問題
二段階の絶望
薬物と信仰に頼るしかないのか

これらを軸に、今後どのように考え行動していけば良いのか、ということをまとめたいと思います。
今回のマル激ライブも例年通りYouTubeにアップされると思うのでぜひご覧ください。
【追記:アップされました。ぜひご覧ください】
前編 https://youtu.be/z-RNB9oir_I
後編 https://youtu.be/0aapsOLC4xw

■ 仲間以外はみな風景


宮台先生襲撃事件からの復活ということで、まずは最近起きている殺傷事件や強盗事件の話題から始まりました。
これについては宮台先生が以前から指摘している「仲間以外はみな風景」で語られました。

以前なら「日本人」というだけで仲間だと感じられたのが、段々その範囲が狭くなっていき今は同じ日本人なのに仲間と感じられなくなってしまいました。だから容易に他人を傷つけられる。
闇バイトで指示する人物やその日集まった強盗チームが仲間となってしまい強盗することが当たり前になる。

これは「みんなそうしておられます問題」ともつながっています。
日本人は以前からずっと周りに合わせることで生き延びてきたということです。
それが上手く回っている分には社会は安定しますが、道徳観が欠落した状態だと途端に社会を壊す方向へといともたやすくシフトしてしまう。
悪人が増えたというよりは、元々こういう人種だった、ということですね。
(そもそも今の日本は犯罪率がかなり低いです)

逆に言えば良い仲間が増えていけば良いだけでは?とも感じました。もちろん容易では無いでしょうが、SNSなどで時間と距離と労力を一気にすっ飛ばして同じ趣味嗜好や思想を共にできる人物と知り合いやすくなりました。
いろんなところに仲間がいると感じられるのは心強いです。
もちろん自分がクズに転げ落ちたら意味が無いので「善なる社会観を保ったまま仲間を増やす」というのを心掛けたいと思いました。

■ みんなそうしておられます問題


有名な沈没船ジョークがあります。
客船が沈没しそう。救命ボートは限りがある。女子供を救うため各国の男たちを海に飛び込ませるにはどうするか。
アメリカ人には「ヒーローになれますよ」
イギリス人には「紳士はこうしますよ」
ドイツ人には「規則ですので」
日本人には「みんなそうしておられます」

宮台先生が指摘する日本人の習性「みんなそうしておられます問題」はSNSなどのスピード感と過剰情報化により最悪な結果を生んでいると言えるでしょう。
神保さんが必死に警鐘を鳴らしているように電通による「パンとサーカス」に抗うことが必要だと感じました。
「パンとサーカス」とは、権力者から与えられる「食糧と見世物」によって国民が政治に無関心になるという指摘のことです。
今で言えば「マイナポイントとWBC」「給付金と不倫ニュース」といった感じでしょうか。
今すぐにでも注力しなければならない大問題が山積しているのに、「みんなそうしておられます」と見世物の方を向いてしまう。
赤信号なのにみんなが渡ってるから良いだろうと一緒に渡ってしまい、今まさに轢かれようとしている。みんな轢かれるから良いとばかりに。

これも単純で、「みんなそうしておられます」というものから外れれば良いだけでしょう。みんな一緒で楽しいですか?と自分に問うだけです。
「みんなそうしてるんだからお前もやれ」なんて家畜だと思われてるようなものですから疑って掛かるのが良いでしょう。

■ 二段階の絶望


この社会が絶望的なのはみなさん感じていることでしょう。
コロナ禍以降急激に社会が縮小しているように感じます。心も、経済も。
何も変わらず沈んでいく社会という絶望。
これが第一段階。
それに抗うため社会について学び様々な知識を得て、テクノロジーの発展に期待し、尊敬すべき人物を知り倫理観がバージョンアップされる。そして新たな視点で第一段階の社会の絶望を必死に乗り越える。
すると新たな知識と高い倫理観と高解像度の視点を得たからこそ、よりくっきりと絶望の壁が果てしなく高くそびえ立っているのが理解できてしまう。そしてこのまま行けば取り返しの付かない大問題が立て続けに噴出することが明確に予想できるのに、何も打つ手がない。
これが第二段階の絶望です。

この地球には絶対に揺るがない解決不可能な問題がいくつもあって、命をなげうった程度ではどうにもなりません。
SDGsなんかで地球が良くなるはずありません。
より緊急に、より抜本的に改善行動をしなければならないはずですが、それは現実的ではありません。

神保さんや宮台先生がわかりやすく諸問題を報道してくださいますが、それゆえに絶望に叩きつけられてしまう(だから目を背けサーカスに意識を向けてしまう)。
この問題をどうするか。
もちろん倫理観を高め続けたり、愛国心を強く持ったり、仲間のために生きる人間性を養ったりすることも大事でしょう。
でもそれ以上の速度で国民は愚民化していきbot人間へと引きずり込まれていきます。

僕個人の「二段階の絶望解決策」は「おもしろがる」です。
サーカスをありがたがる愚民化は僕にとってつまんない。でもこのような絶望でしかない社会を観測するのはかなりおもしろい。
社会が良くなるための行動が無駄かどうかはあまり気にしてません。どうせこの社会は良くならない。何をしても無駄。だとしても社会が良くなるための行動がおもしろいからします。
「みんなそうしておられます」からと自ら家畜の檻に進んでいくのはおもしろくないからやりません。

■ 薬物と信仰に頼るしかないのか


「二段階の絶望」を解決するための別の方法で考えられるのは「薬物」と「信仰」です。
肉体や精神に影響を及ぼす「薬物」を服用することで多幸感を得る。社会の枠組みを超越した存在を「信仰」することでこの社会の絶望に打ち克つ。
どちらも絶望に蝕まれず社会に踏みとどまるために有効な手段でしょう。
ですがどちらも問題があります。
「薬物」はいずれ肉体や精神に異常をきたします。健康な肉体や健全な精神を未来から先取りしているようなものなので、時間の経過に伴い負債がのしかかってきます。
「信仰」は「社会を壊す信仰」をも含む可能性があるため危険です。というか社会的に安全な信仰など信仰の強度が低く信仰する価値が薄れます。

「薬物」も「信仰」も、取り入れた自分は本当に自分かという問題が発生します。
薬物を服用し高パフォーマンスな仕事をこなす。では薬物が無く仕事ができない自分に価値が無いのか。
信仰篤く絶対的な存在に身を捧げる。自分は無くなり信者として一律的に行動する。善悪の判断は自分の中ではなく信仰先に帰依します。

どちらも社会のルールの範疇に収まっている場合はバランスが取れるでしょう。でも薬物のために犯罪を犯したり、信仰のために法律を逸脱する場合は、この社会に自分は存在できなくなってしまいます。
当然この社会は生きるに値しないという認識が広がっていけば薬物も信仰も依存のハードルが下がります。
つまり依存のハードルが下がっている現在は薬物や信仰を何よりも優先させてしまえる社会環境が出来上がっていると言えるでしょう。

僕としては薬物でバージョンアップさせることを良しとしませんし、既存の宗教は信仰の対象にはなり得ません。
頼る人を否定するわけではありませんし、頼ることで生きながらえるのならばそれで良いと思います。ただ僕には合わないというだけです。
薬物や信仰に頼ってまで維持しなければならない社会なんてどうなの?という感覚です。
宗教は信仰しませんが神の存在は信じています。というか「神」の「存在」を「信じる」という言葉で表現できる程度のものではなく、より超越した何か(人の叡智の外)だと考えています。

■ まとめ


『復活!マル激ライブ』は膨大な情報量のためすべてに言及するのはなかなか難しいのでぜひ動画をご覧いただきたいのですが、本稿では気になったものを取り上げてみました。

宮台先生が政治に期待せず「自分と仲間の幸福のために生きよ」と言うのに対し、神保さんは「投票率を最低でも67%に」と言っていたのが印象的でした。
今回のイベント全体を通して「自分とは何か」「どこまでが自分か」という問題なのかなと感じました。

闇バイトで犯罪者集団に仲間入りし老人を殺害できるのが自分か?
みんな一緒に無思考のまま赤信号を渡るのが自分か?
無能な政治家に責任を押し付けてSNSで意識高い発言をするのが自分か?
AIにできるような仕事にしがみつくのが自分か?
そこに居ても居なくても大差無いような、取り替え可能な存在になってしまう事を唾棄するような人物こそが自分だろう。
悪に嫌悪し善を大絶賛するような人物こそが自分だろう。
赤信号だから危ないと言える人物へ。
変えられない政治にしがみつくよりも志をともにする仲間たちと団結する人物へ。
そのような人物であればどんな思想でも、どこに所属していても、紛れもなく自分であると宣言できる。

神保哲生と宮台真司はいつだって僕にこの社会に立ち向かう力を授けてくれる。
間違っていることに毅然とした態度で「これは間違っている」と何年も言い続ける姿に勇気をもらう。
いつまでもお二人にはお元気でいていただきたいです。
お二人のご健康とご活躍をお祈りいたします。

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