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武蔵野ワークスの香水「すずらん」のリニューアル版「すずらん2020」を嗅いだよというはなし

2019年のトピックスを思い出す時に、個人的なニュースの一つとして、好きな香水が廃盤になった、というものがある。

日本の香水メーカー武蔵野ワークスの「すずらん」だ。

武蔵野ワークスは近年香水や香りのものにハマり、出会ったメーカーの一つで、日本人好みの香りを作りたいというコンセプトにいたく共感したことを覚えている。
彼らが言ってることをめっちゃ雑に意訳すると「欧米の香水くさくね!?そもそも湿度も風土も違うし!俺たちの体も欧米人とは全然違うじゃねえか、合うわけねえよ!と言うことで日本人好みする優しげな香りを作ったぜよ!」みたいな。(こうやって書くと全然違うな)
https://www.fragrance.co.jp/

最近リリースされる香水は爽やかな、ライトなものが多いので一概には言えないなとも思うけれど、確かに名香と言われるようなクラシカルな香水はどこも臭いっちゃ臭い。

当時は1mlボトルが安い値段で買えたので、あるだけ買って試してみた。
その中で最も心動かされたのがすずらんだった。
野の草に顔を埋めたような野性味あるグリーン。トップが去った後の媚びないホワイトな甘さ。すずらんというモチーフを含めてお気に入りの香水になった。

その後出会ったディオリッシモにめっちゃ似てるとか色々一悶着あって、色々なすずらん(ミュゲ)香水を買ったものの、武蔵野ワークスのすずらんはやはり嫌味がなく使いやすかった。

これからも使うかなーと思っていた矢先に廃盤のニュースが流れた。

原因は確か原材料の確保が難しくなった、という内容だったか。
とにかくショックではあったものの、再販を目指して開発中とのことだったので信じて待つしかない。

最初は9月ごろの再販を目指していたが延期になった。自社での開発が難しく、他社の調香師に協力をあおいだこと。それもあまり良い結果が得られずやはり自社での調香にシフトし、2020年1月1日のリリースを目指すとのこと。

そもそも香水の原料は生ものだ。そりゃ原材料が変われば香りの再現など不可能だ。調香師の苦難が偲ばれる。

この時点でおそらく自分が愛した香りは蘇らないんだろうな、と覚悟はしていた。正直言うとメルカリで出回っていた中古品を何本か確保した。
武蔵野ワークスは度々ブログでメルカリを話題にしており、どうやら毛嫌いしているようなので申し訳ねえ……と思いつつそれでも買ってしまった。アイムソーリー。。

で、来ました2020年1月1日。
大丈夫かな〜〜と思いつつサイトを見ると、しれっとリリースされているではないか。
名前の明記は「すずらん2020」とのこと。なるほどと思い購入。

家に届いたすずらん2020はリボン(?)が巻かれていて、ラベルのイラストも変わっていた。

ひとまずワンプッシュ。
おお、違う。
ニュアンスは似ているけれど別人や…!
なんと言うかワンプッシュ目のグリーンのテンションからして違った。前の方が強め。ミドルの香りもちょっと新しい方が重めに感じる。より石鹸っぽいような。。

とてもよく似ている人だけど、折々で別人だと感じる、ような。
SF映画で過去の恋人のクローンを作ったのだけど、どこかで違和感を感じるような。
なーんか出掛けた先でラーメン次郎の店舗を見つけて入ってしまったのだけど、あれ全然味違うわ!みたいな。。いやそれは違う話か。

新しいすずらんはちょっとおしとやかで前の子よりも話が長め、と言う感じ。
新しい子を愛してあげたいとも思うけれど、昔のすずらんもやはり忘れがたい。

とは言え私のバカ舌ならぬバカ鼻だ。毎日使う間に見分けがつかなくなるかもしれない。(笑)
結果から言うとベストは尽くしたんじゃないだろうか。。
にしても相変わらずトップ〜ミドル〜ラスト〜の香りの変化は乏しく、香りはそんなに保たない。すっきり爽やか系香水の宿命か。

仕方がない。何事も変わってしまう、いい意味でも悪い意味でも。

ともあれ、とにかく今は調香師の方のご苦労を労いたい。

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