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Regenerative Farm Concierge
半農半コンサルのさかもっちです。3年前から佐久市内山で「農業複業化プロジェクト」のメンバーとして活動していくなかで、「農業複業化」を通じた多様な営み、コモンズをつくりたいと思い、「ぷらっとふぁーむ構想」を昨年12月に綴りました。今回はその構想を一歩前に進めてみた話です。
複業化ラボに参加する
ことの発端は、「農業複業化プロジェクト」のキーマンの一人でもある江原さんが主催する「ローカル複業化ラボ」に参加したことです。
「ローカル複業化ラボ」は2023年1月〜3月の3ヶ月間。同期は私を入れて5名。それぞれが、地域にとって良いことで、自分が心からやりたいことや、課題感を持っていることを解決するために、本業とは別に「複業」として、ボランティアではなく、マイクロビジネスとして、自らプロジェクトを立ち上げ、自らコミュニティを作っていくことを目指し、構想→事業計画を立てるというプログラム。
私自身はこのラボを通じ、以前から温めてきた「ぷらっとふぁーむ構想」を「農 x コワーキングで日本の農と食に関するキレイゴトをジブンゴト化する」と定めました。
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普段は農家とご縁のない生活者が、無理のない範囲で、地域の農家や仲間と一緒に農に関わることで、新しいソーシャルスタイル(=農と食の民主化)を生み出せないか。そのために、「 農体感+大切な人へのおすそわけ」と「人財開発/チームビルディング」を事業化するというもの。
「ぷらっとふぁーむ」用の農地をお借りする
ラボのプログラムを終了し、さあやるぞ!というところで次の課題。どこ(農地)でやるのか?
農業複業化プロジェクトで15名ほどの仲間と丸2年間田んぼ仕事をやり、佐久地域の農家さんのお手伝いもやってきましたが、これまで自分だけの(自分が全責任を取る)農地というのは持っていませんでした。
田んぼ仕事は当面は複業プロジェクトに相乗りするにしても、ジブンゴトとして前に進める上では、自分が管理者となり責任を持つ農地が必要と考え、農業複業化プロジェクトでお世話になっている農家さんにサポートいただき、複業田んぼの近くの休耕地(元田んぼ)5畝ほどをお借りすることができました。
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会社に提案してみた
事業構想はできた。農地も借りた。じゃあ今の会社辞めて、自分の会社つくって事業スタート!といけばある意味カッコよかったんですが、そこがR50男の煮え切らなさ?待てよ?俺がやりたいことって、もしかして今の会社にいてもできない?と、妄想が頭をよぎります。そう言えば当時の社長(現会長)も、「やりたいことがあったら、いつでも、なんでも言ってこい!」と言ってたっけな〜と思い出し、早速社長にアポを申し入れました。
社長からは、「佐久エリアはいいところなので、拠点を持つことは賛成。そこで坂本が何をやりたいのか、それが会社にとってどんな価値を生むのか、真剣に考えて提案せよ」
拠点は一日にしてならず
「拠点か〜・・・いきなり言われてもな〜」と途方に暮れようとしたその時、閃いてしまったのです。「awai をお借りできないか?」
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そう。Maru Cafeを営む柳澤夫妻(零さん&真理さん)が、今年春にオープンさせた一棟貸しの宿。それが awai です。当時宿泊はしたことありませんでしたが、外観や中の様子は拝見しており、awai を拠点に農 x コワーキングのプログラムを走らせたらどうか?と、ぷらっとふぁーむ構想と会社への提案の方向性が、自分のアタマの中では完全に一致し、これはいける!と勝手に確信した瞬間でした。
善は急げで、零さんと真理さんに時間をいただき、「会社でこういうことやりたいんですが、貸してくれませんか?」と相談したところ、なんとその場で「いいですよ」と即答のご返事をいただきました。
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余談ですが、即答してもらったと思ったのは私の浅はかな勘違いでした(苦笑)。なぜOKしてくれたのか、その後どういう思いで一緒に走ってきたのかについて、真理さんが fb にあげていますので併せてお読みください。
https://www.facebook.com/100063551108427/posts/pfbid02B75Ek4R8t3mD8Wog7cTKB9bNHfN2Loij37iWWJBbA3xSNy7FURMKw4UmnDDu8zyul/
いずれにせよ、零さんと真理さんの英断に感謝です!ありがとうございます。
その後、お借りするに際しての金額を含めた条件面をお二人と詰め、それを切り札に再度社長に提案したところ、「まあ、(awai は)良さそうなところだし、拠点あるならいいんじゃない?やってみれば」とGOサインを貰いました。
ここから先はさすがというか、自分が所属する会社を惚れ直すような様々なことがあった(シグマクシスのコーポレートメンバーの皆さんに足を向けて寝られなくなりました)のですが、それはさておき、これで構想+場所(農地&宿泊拠点)+地域の仲間たちのバックアップで、今年の私の主たる活動の方向性が定まりました。
Regenerative Farm Conciergeを名乗る
会社としてやるからにはちゃんとしないとな、ということで、コンサルワーク時のスーツも農作業時のツナギも、なんでも形から入るタチの私なので、まずは会社の名刺の肩書きを決めようと。
そこで登場、 “Regenerative Farm Concierge”。要は自分が管理する畑の農場長であり、都市生活者と地域の生産者を繋ぐ仲立ち役、みたいな意味合いです。
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農 x コワーキングで日本の農と食に関するキレイゴトをジブンゴト化する
今年の5月のGW明けから12月上旬までの間、週末を中心に正味6ヶ月間、Regenerative Farm Concierge として活動しました。
一般的にホテルなどの「コンシェルジュ」は、「お客さんの要望をなんでも聞いて、NOと言わない・・・」というイメージかもしれませんが、今回私が心掛け、コンセプトとして掲げたのは以下の3点です。
「お客さん」ではない立場で地域の生産者の日常にお邪魔し、同じ目線で身体を動かす。
自分都合ではなく、地域都合に身を委ねる。
地域課題や生産者の思いを体感する。
これにより、都市生活において耳や目から入ってくる情報を元にキレイゴト(日本の農業と食の現状や地域課題を知った気になる)であり、タニンゴトだったものを、ジブンゴト化することができるのではないか?と考えました。
どんな感じのことをやったのか、写真多めで振り返ります。
3月〜4月
活動の手始めに、お借りした農地がしばらく休耕地で土地が痩せていたため、有機物資材を入れようということで、籾殻、廃菌床を投入。
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5月
更に会社でご縁のあるバイオマス発電の会社から発電残渣のバイオ炭を350kg購入。軽トラで発電所から運搬し畑に投入!
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そして田んぼ仕事のメインイベント、田植え。田植え機が入れない田んぼは手植えです。
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5月末の田植え・初期除草の時期に来てくれた家族連れには、植え残しの部分の苗の手植えと除草、畑への野菜の苗の定植をしてもらいました。
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6月
農業複業化プロジェクトの田んぼ。除草剤を使わないので田植え後の初期除草がキモ!ということで、この時期に来たゲストは漏れなく除草作業に参加。
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田んぼ仕事の合間を縫って、小諸市のジオヒルズワイナリーさんのオリジナル・ワイン・プログラムに参加し、ワイン用ぶどうの手入れをお手伝い。
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借りた畑は、なるべく地域にあるものを使って整えようと思い、畑の支柱とビニールハウスの骨組みを地域の竹を使ってみることに。
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余談ですが、今年は大豆が不作でした。その兆候は既に播種段階から。農業複業化プロジェクトの大豆畑では、一度播種したもののその後雨続きで発芽率が極端に悪かったため、6月中旬に来たゲストには大豆の追い蒔き作業をやってもらいました。
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あるときは、プロ農家の圃場に家族でお邪魔して収穫体験をさせていただきました。
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7月
田んぼの除草も一段落し、この日は農家さんのジャガイモやトウモロコシの収穫をお手伝いしたり、田んぼの稲の生育状況を観察。
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8月
お盆から1ヶ月半ほどはプログラムを一旦休止するも、我が畑の野菜たちの成長は止まらず・・・
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9月〜10月
9月末からはプログラムの内容を更に地域 x 農に振り切ってリニューアル。
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メチャクチャ美味しい!
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企画意図を真理さんから伺う
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昨日のトマトはこうやって作られているんだ!
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そしていよいよ稲刈りシーズン到来!
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11月
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一度収穫して葉っぱを切り落とした大根を、掘った穴に埋め戻して長期保存
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12月
この時期になると、農家さんの仕事も栽培・収穫から後片付けに比重が変わってきます。
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ニンニクって5片で1個だけど、それをバラして植えるって、知ってました?
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今年の締めくくり。我が畑の来年用の土づくりのため、またまた廃菌床を運搬。
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ジブンゴト化
実際に今回のプログラムを利用したゲストの感想をいくつか記します。
裸足で田んぼに入るとか、耕すとか種をまくとか雑草をとる、といった地味な経験こそ、子供だけでなく大人もやってみたほうがいい。こうやって食べ物は作られているという、忘れがちなことを気づく機会になった。それを実感しないとSDGsの本質は理解できない。商業化されたSDGsとは違う、真の持続可能性について考える良い機会になった。
農作業ができたことはもちろん、「農」を人生の中心に置かれている方と交流ができて、自分の価値観が広がり、今後のライフプランや食物に対する考え方が広がった。
地域の温かさと、それがゆえにドライにロジカルにはかたづけることができない難しさをひしひしと学ぶことができた。
食べ物をつくる、交換する、調理する、シェアすると、食べ物を中心に地域がつながっていると理解でき、それを外から来た私たちの身体に入れてもらう+農作業を少しでも手伝わせてもらうことで、その循環に少しでも入れていただいたことの貴重さを感じ、日ごろ消費者として食べるだけの生活は全く当たり前ではないと、身体で知ることができた。
なぜ Regenerative Farm なのか
“Regenerative” というコトバ、最近の農業界・食品業界ではバズワードっぽくなっていますが、私がこの「言葉」に込めた思いの要点はこんな感じです。
都市と地域の人の関わり方を再構築する
生きるチカラの回復
地域の未利用資源の活用
地域の原風景・あって欲しい未来の風景をつくる
上記の詳細については、たまたまタイミング良く、最近WIREDでシグマクシスの記事広告を出す運びとなりましたので、よろしければそちらご覧ください。
Maru Cafe/awai オーナー柳澤真理さんとの対談です。
最後に
なんかここまで書いてきて、今年はえらいトントン拍子にコトが進んだな〜と思いつつ、自分一人でやったことなんてなんもないな〜と痛感し、涙が出てきました。地域の仲間とのご縁、会社の仲間との信頼関係なくして、自分は何もできないんだということを再認識し、その仲間たちへの感謝に暮れた今年一年でした。
みなさん、どうもありがとうございました。
来年も色々やるので、よろしくお願いします。
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