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おお・マイ・ゴッド

 散弾銃を相手の頭にぶっ放して黙らせる。相手の言い分など聞くだけ無駄だ。
 手早く死体を縁側の下に隠してから朝飯の準備にかからないと、銃声であいつが起きてきてしまうな。


 朝のニュースを聞きながら土間のある台所で朝飯をかっこむ。

『ネパール政府はクマリが神化したと正式に発表しました。これを受け中国政府は共産党の理念に反する紛い物だと即座に反応し、両国間の緊張が高まっています……』
 世界中で神と崇められていた存在が次々に顕現してから20年余り、我が国でも京都や日光に現れてその実在はもはや疑われないが

「おふぁよ〜、秀くんまた朝から銃撃って、駐在さんに怒られるよ〜」

 このボサボサ頭の低身長陰キャ女がそれになるんだからこの世は分からんもんだ。

「猪が出たから追い払っただけだよ」

「へ〜、あっ昨日描いたの10万いいねついてる」

 文明の利器とは山奥の限界集落の生き神に、数百万人の信者を生み出せるのだ。

「それより明日は遠出なんだから飯食ったら荷物詰めとけ」

「東京行って偉い人に会うんでしょ。海みられるかな?」

 東京で神道のトップと会う、それでこの幼馴染は正式に八百万の柱に列せられる。
 ウキウキでご飯を味噌汁に入れて漬物をつまんでる姿からは想像もつかないが。

「ごちそうさま」

 早々に食べ終えたら自室への階段を降りていく。


「お邪魔します」

 洗い物をしていたら黒服の男達が家に上がって来た。

「宮内庁より警護を仰せつかりました」

 自分達の神様が一向に現れない、一神教の過激な信者が他の神格を悪魔扱いして害そうとしてくる。それへの備えだと聞いている。

「ご苦労さん、早速だけど縁側下のやつの処理頼むわ。多分カトリック関係だと思う」

「承りました。おい!お前とお前でかかれ」

「ああそれと…」

「はい?何か?」

 出しっぱなしにしていた散弾銃をそいつに突きつける。

「お前隠れキリシタンだろ」

【続く】

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