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喪失感とともに

皆様こんにちは。
今は城下国際演劇祭 マチノブンカサイ編が終わったところです。
タイトル通り、喪失感がすごいです。何もない夜の空を眺めちゃうくらいに。感傷に浸りつつ、振り返りをしていこうと思います。

さて、マチノブンカサイにはアーリー・サマーが終わった時にお話を聞かせていただいており、ぜひとも参加したいと思っていました。何をやるか決めないまま、というのももはや当たり前のようになってしまいました。大体2ヶ月くらいの準備期間があったかと思いますが、1ヶ月は台本執筆に溶けました。今回出来上がった『いるか、いないか』は寓に引き続きシリアスな作品でした。私はコメディや明るい話がやりたくないわけではないのですが、なぜか今までやってきたのはそういう作品に偏っていました。

まあ、作品作りについての話はまたいつか。

明るく楽しい、やってて楽しい話を書きたい、と思っていましたから、最初は全く違う話を書いていました。イルカなんて出てきません。前提は明るくて笑えて楽しい話です。でもなんだか、いくら書いてもずっと薄っぺらいような気がして、書いては消し書いては消しを繰り返し、何が何だかわからなくなってしまいました。何かしらは書かなければ、と色々定めてあった前提をぶち壊したところ、『いるか、いないか』ができました。暗くて笑えない陰鬱な作品になりました。人間性が色濃く出てるんでしょうね。

前提と真逆のものが出来上がってしまったので、やるつもりはあまりありませんでした。1人ではできませんし、乗り気じゃないもので楽しくできるわけがないと思っているので。そんななか、イルカ役を務めてくれた四宮君が、せっかくなんだからやってもいいんじゃない?(※要約)と背中を押してくれました。私はそれを聞いた時めちゃくちゃ嬉しかったです。そのように言ってくれる人がいるのなら、と上演を決めました。
二人劇にでしたので、女役を田中さんにお願いしました。田中さんは寓に引き続き二回目のうら作演出舞台です。寓の時から真摯に向き合ってくれるその姿勢が私はとても頼もしいと感じています。今回もそのまっすぐな姿勢で、女という人に向き合い、表現してくれました。四宮君との演技は初でしたが、それぞれがそれぞれの良さをもってそこにいたように思います。四宮君も流石の声や表情でした。あの表現は彼にしかできないと思っております。

今回も紆余曲折ありました。そんな中で気づいたのは、自身の脚本演出としての準備と引き出しの少なさでした。何をどう伝えたいのか、どうしてこのように書いたのか、それを自身で明文化し役者そして観客に伝えるということ。演出には、物語に連れていく、伝える義務があると、そう思いました。一人でできませんから、携わる全員に伝えなければ、その先の観客になんて伝わるわけがない。それらを怠っていたんだなと、気づきました。一つ、成長です。もっともっとコミュニケーションとって、より楽しく、いい舞台を作っていきたいと思いました。

音響と照明について。今回は今まで私がやってきた中で一番きっかけが多かった舞台でした。尺的には一番短いのに。ややこしいし忙しい操作をやってのけてくれた村田君と平松君、ありがとう。
私は大学から演劇を始めており、音響や照明にはとても疎く、あまり多用するようなことはありませんでした。それが今回、種類としては多くありませんが、音響や照明にもこだわっての演出になりました。照明が変わるとすごく綺麗だし雰囲気出るなと思いました。

いるかの話はこれくらいにして。お次は久々の役者として舞台に立った『冷蔵庫に支配されている』という劇について。

こちらは四宮裕樹さんの初作演出舞台です。そんな貴重な舞台に役者として携われたことを非常に光栄に思います。舞台を見られた方はわかると思いますが、本当に面白いんです。意味わかんないし。でもなんか、可笑しいけどおかしくない。やってて、みてて、楽しい舞台です。私がやろうとしてたものですね。ナチュラルにそれができる彼は本当にすごいなと思います。
私は冷蔵庫の持ち主の男、という役でした。冷蔵庫を冷蔵庫としてだけではなく、一人の女性として見る、というその感覚や視点はとても面白かったですね。それから男の一人語りのシーンが大好きです。本当はもっともっとふざけたかったのですが、流れの中で保守的になってしまいました……。医者とのやりとりの中で変化していく男の様子もやっていてとても楽しかったです。本当に最後までずっと楽しい舞台でした。田中さん、津川さん、そして四宮君、ありがとう。
四宮君、新作待ってます!また使ってください!
いつか自販機もやろうね!

長くなってきたので今回はこの辺で。
マチブンの他の舞台については、次のノートでまとめて書きます。どれも本当に面白かった!

それでは、また。