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冷麺じゃなくて、冷やし中華じゃなくて涼麺

そろそろ冷やし中華がはじまる季節。
銀座の一風変わった冷やし中華もはじまっているんじゃないかと「羽衣」にくる。
銀座7丁目のビルの地下。

赤い絨毯が敷き詰められた階段を降りると、小さい入り口からは想像できないほどに広々として、椅子もテーブルも立派でゆったり。
居心地がよい。

ランチどきには近隣のサラリーマンで昼はにぎわう人気のお店。
料理がふた皿ついてくる日替わり定食や、山のようなボリュームのかた焼きそばがランチの人気。
夏の名物は「河南涼麺」。一風変わった冷やし中華の正式名称。

どこが変わっているかと言うと、麺とは別に具材がお皿にきれいに並んででてくるところ。それから麺が冷たいスープに浸かってやってくるところ。赤みがかった胡麻色スープで、湯気の立たない担々麺のような風貌、かなり独特です。

冷やし中華作りは時間との戦い。
ラーメンなどと違ってさまざまな具材を麺の上にキレイに並べる必要がある。
ぼやぼやしてると麺が伸びておいしくなくなる。
具材を別添えにすることで、盛り付け終わるタイミングにあわせて麺を準備すればいいというのがここのやり方。
ただこれを作り置きの具材を並べて保存してしまうとただの手抜き料理になってしまう。

海老の天ぷらにグリーンピースに薄焼き卵。拍子木状に切った焼豚、細切りキュウリに茹でた春雨、そしてネギ。
それらがそれぞれおいしい状態で盛り付けられているのがステキ。

海老の天ぷらは衣ふっくら、ほのかにあったか。グリーンピースはみずみずしくて、焼豚は脂がしっとり。どれもがそのまま食べてもおいしい状態。これをあてにお酒を飲まれる方もいらっしゃるんですよ…、ってお店の人が言うのもわかる。

麺のスープもたっぷりと具材を乗せず麺をスルンとすするとキリッと冷たくなめらかなこと。
よく混ぜないと味がまだらになってしまうのが冷やし中華という料理。けれどこのスタイルだと麺がしっかりタレをまとってひと口目から最後まで味が均一。
しかも冷たいスープがしみじみおいしい。酸味とうま味、胡麻の風味と軽い渋みのバランスが良く味わいすずしくゴクゴク飲める。

途中で具材を並べてスープに味が移っていくのをたのしむ。オキニイリ。


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