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冬においしい親子とじそば

本格的に腹ごしらえ。温かくやさしいもので体も一緒にあたためましょうと、永坂更科布屋太兵衛にやってくる。

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新宿西口のメトロ街の中の店。
この界隈は一体、どこが一階でどこが地下一階なのかが分かりづらい立体ダンジョンみたいな構造。
JRや私鉄、地下鉄の出口がそれぞれ違った高さ、深さにあってそこから続くビルの入り口がみんなそれぞれ違った深度にある。誰かがプランをたてて開発された場所じゃなく、事業者ひとつひとつの開発スピードにプランがまるで追いつかなかった故の混沌。
動線計画がしっかりし過ぎていて開発者の意図通りに歩かされてしまうキレイだけれど人間味に欠ける最近の再開発エリアなんかよりずっと好き。ちなみにメトロ街は地下0.7階って感じの不思議なフロア。

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お店は今日もおじさま、おばさまでにぎやかです。
考えてみれば若い頃の小腹満たしはハンバーガーとかラーメンとかがほとんどで、蕎麦って選択肢の中にまるで入っていなかった。
今は蕎麦がいの一番に思い浮かんでくるお年頃。
おばさま、おじさまに囲まれてする食事はなんだかホッとする(笑)。

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温かいものであったまりたく、親子南蛮とじそばを選んでたのむ。
名前の通り、親子南蛮を卵でとじたものが蕎麦の上にのっかったもの。好きなんだけど鶏と卵という食材に対するストライクゾーンが極めて狭いボクにとっては鬼門な料理。
癖の強い上等な鶏のもも肉を使ってとじた卵が半熟状態のものは絶対食べられない。その点、皮をきれいに剥いだ鶏むね肉をしっかり固めた卵でとじたここのは理想的でオキニイリ。

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蕎麦はほどよき太さでねっとりとろける。茹でて冷やされキリッと緊張したような冷たい蕎麦もおいしいけれど、熱々の汁につかってホッとのんびりした蕎麦のやさしい食感もまたおゴチソウ。
汁はやさしい。出汁の旨味はどっしり豊かでかえしの風味は最小限。卵がそれをゴクゴクたっぷりのみこんで、ふっくらかたまり茹でて仕上げただし巻き卵のようになっているのがまたおいしい。キュッキュと奥歯をくすぐるようなネギの食感、その出汁を同じように吸い込んでとろける蕎麦とどれもおいしい。

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一口目には一味たりなく感じる汁も、食べすすめ飲み進めていくうちにどんどんおいしくなってく。気づけば器の中は空っぽ。オキニイリです…、さぁ、帰る。


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