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手打ちのひやむぎ、天ぷらの盛り合わせ

梅雨も終わってないというのに、本格的に暑い近頃。
涼しいものを食べたいなぁ…、って思ってそれで「志な乃」を選ぶ。

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新宿御苑の近くにある店。
「民芸手打ちそば志な乃」と看板にあるように民芸調の造りの店で、入り口の引き戸がちょっと開けられていてアルコール消毒液が置かれていたりするのが今仕様。

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扉の脇にはサンプルケース。スペース自体は大きくてなのにそこに置かれたサンプルはせいろに天盛り、天ぷらそばに鍋焼きうどん。いつもこれでいいんだろうか…、って心配になっちゃうほどにそっけない。
実際、メニューは絞り込まれててほぼその4種類でほとんどの人の注文が揃ってしまう。だからサンプルケースはそれでよしってことなんでしょう。

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どこか田舎の頑固なそば屋にやってきました…、って感じがするのがオモシロイ。

手打ちひやむぎを注文し、お供に天ぷらの盛り合わせ。

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ここで天ぷらの盛り合わせをたのむのはひさしぶりのこと。エビと野菜が5種ほどついて衣もぽってり。心して立ち向かわないと天ぷらだけでお腹いっぱいになっちゃいそうなボリューム感。
天ぷらの量に比べてお皿は小さく、溢れ出してくるように見える一見無造作な盛り付け方が素朴で不思議とこの店らしい。
今日の野菜は茄子にニンジン、ピーマン、かぼちゃ、それから大葉。
ザクザク壊れるように歯切れる衣で覆われ、野菜そのものの香り、持ち味がしっかり閉じ込められてる。なによりエビが大きくしかもたくましく、ムチュンと歯切れて口の中を甘くする。しっぽもバリッと揚がって旨い。

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天つゆのしっかりとした出汁を衣がたっぷり吸い込み、とろける感じがまた旨い。
天つゆに限らずここのタレはおいしい。
色白で薄く見えるのにどっしりとした味わいで、強い旨味の上等なタレ。
薬味もたっぷり。おゴチソウ。

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さて今日の目当てがこの冷や麦です。
手作り、しかも生の麺。
「夏季限定」とメニューにあって、春にはそろそろ夏が来ないかと心待ちにし、なのに気づけば秋になり、今年もとうとう食べ損なったとぼんやりしてると後悔することになってしまうこれ。
大きな鉢に水をタップリ。ぶっかき氷に浮かべたところに漂う細く、白い麺。大葉が一枚。彩り添える。
じっくりみると軽くよじれて仕上がっていて、持ち上げてみるとほどよき長さ。タレにとっぷり漬けて食べると、スルルと喉を駆け下りる。

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この食感が特別です。
噛んでしまうのがもったいなくなるほどになめらかにして喉越しがよく、お腹の中に一足先に本格的な夏を招き入れるがごとき涼やかさ。噛む必要なくスルンスルンとお腹の中に飛び込んで、出汁と小麦の香りが鼻から抜けていく。
思い切って噛んでみる。するとコリコリ、固い食感。表面から芯までほとんど同じ固さで奥歯で潰れて、歯切れてちらかり、粘ることなく消えていく。

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食欲なくてもこれなら十分食べられる。食欲あればなおさらおいしい冷たいゴチソウ。何があっても季節は変わる。何がなくとも季節は夏に向かってく。とウットリしながらスルリスルリと味わい食べる。オキニイリ。


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