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中華麺に冷出汁かけてぶっかけ中華

牛込柳町という町に「白河そば」という店がある。
立喰そばの店で、人気のお店。
ただ、この牛込柳町というのが数年前まで最寄り駅がまるでない、都心なのに陸の孤島のような場所。坂の急な町で、すり鉢状になっている柳町の交差点といえばかつて光化学スモッグが発生しやすい場所のひとつとしても有名だった。

坂道の途中にお店はあって、店の前にはいつもタクシーや営業車がとまってて、昔から運転手さんたちが移動の途中にちょっと立ち寄るお店としても有名だった。
そういう店にはずれなし。
お店に入ると正面奥に厨房。壁に大きなメニューの張り紙。
そのほとんどは普通の立ち食いそばのお店のメニューにあるもの。それ以外はこの店独特の商品で、中でもオキニイリなのが「ぶっかけ中華」で、それにする。

厨房で仕事をするのは白髪を後ろで束ねた凛々しいご主人。ぶっかけ中華にトッピングをほどこし、しかも追加でカレーをたのみそこにもトッピングを追加する。
券売機はない。だから注文を聞いたご主人は暗算で値段を計算。価格を告げる。その間もずっと手を動かし、料理を作り続けててその集中力にいつも感心。

しかもその間も、冷たい麺には「だち油」がよく合うからネ…、とかおいしい食べ方を教えてくれる。
出汁をとるため使った昆布を千切りにして炊いた佃煮。小さな梅干し。だち油というのはラー油のような辛い油で、紅生姜だとかたくわんだとかとご飯のお供がたくさん揃う。

さて、ぶっかけ中華。
茹でて氷水でザブザブ洗って〆た麺。
そこに中華スープではなく、そば出汁をかけて仕上げる冷たい麺。
刻んだ海苔と煎った胡麻。
わかめと天かすをちらして仕上げる。
湯通しした油揚げを細切りにした、きざみを追加。
口の中から体の温度が下がるほどに冷たくしかも麺がゴリゴリ。
透き通った出汁は旨味も甘みもしっかりしていて、麺の食感引き立てる。

ぶっかけ中華のお供は、煮豆腐飯にちょいかけカレーにしようと思った。牛丼の頭の煮汁で煮込んだ豆腐は大豆でできた肉のごときおいしさで、ところが夏の期間はお休み。足が早いからのことなんでしょう。代わりにカレーに煮卵にする。

この煮玉子も煮汁を吸い込みおいしいこと。白身が縮んでがっしり硬く黄身はトロンとネットリしてる。
カレーはビリビリ、辛くて旨い。食べ続けると舌がヒリヒリしびれるようで、体の奥から汗もかく。ただそれを厭わず食べられるのはベースの出汁がしっかりしているからでしょう。
カレーを食べてヒーヒーしながら玉子をパクリ。玉子の甘みで口がしばらくホッとする。ゴリゴリ麺をすすって噛んで汁をゴクリとすすって飲んで。暑くなったり涼しくなったり、朝はいささか忙しない。


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