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モスカフェの失敗

チェーンストアのイメージチェンジって本当にむつかしい。
お店をたくさん作って成功するということは、多くの人にイメージが定着するということでもあるから、成功すればするほどそのイメージを覆すことは大変な努力を必要とすることとなる。

成功してるんだから別にイメージを変える必要はないんじゃない…、という考えもある。
でもほとんどのチェーンはここ数年、価格を下げることで延命した。
その戦略が経営を圧迫しているというのが現実で、なんとかして客単価が高い業態を作れないかと試行錯誤する。
モスバーガーはその典型で、紅茶の専門店やらパスタのお店。テーブルサービスのレストランとさまざまな業態を経営している。けれどそれらはほとんど数軒単位で、成功しているとは決して言えない。
中でも本業のハンバーガーを高単価で売る業態に至っては、どれもほとんど失敗でしょう。

例えば、今日行ってみたモスカフェ。
現在、8店舗。展開初期に作られた店で、昔はもっとあったけれども随分整理された。お世辞にもうまくいっているとは言えない状態。

そもそもカフェって一体どういう存在なのか…。
レストランや喫茶店、食堂と言った従来型の飲食店と違っていろんな利用動機に対応しようとしてくれる便利な場所。転じて何から何もが中途半端で、その中途半端をインテリアと従業員が発散する特定のライフスタイルという情報が補うお店。

…、であるとするならモスという実直で正直な会社にとって一番苦手な業態のように思えてしまう。
この店はロコモコだとかサラダだとかカフェ飯っぽい商品も導入しているけれど、やっぱりハンバーガーがおいしそうに見えるところがモスらしいとこ。

エスプレッソハンバーガーというモスカフェ限定の商品があって、それを注文。お供にクラムチャウダーとアイスティーにフレンチフライ。
番号札をもらってしばらく待って商品届く。

最初にもらったアイスティーをのっけたトレイの向こう側に一言もなくポンッと置き、さっさと帰っていってしまったことに、たしかにカフェってつっけんどんなサービスの店が多いから、がカフェ的だなぁ…、って思ったりした(笑)。

さてエスプレッソバーガー。
上等なパテを使ったとびきりハンバーグサンドにエスプレッソソースを添えたもの。
小さなピッチャーにエスプレッソソースが別添え。

舐めてみるとたしかにエスプレッソの苦味を感じる。けれど基本はデミグラスソース。
たしかにおいしいデミグラスソースには酸味と苦味、香ばしさが必要だけれどそれをわざわざエスプレッソから借りてこなくていいだろうよ…、と思ったりする。
エスプレッソを期待して舐めるとエスプレッソ風味はたよりなく、デミグラスソースとしても残念。もどかしくて悩ましさがつのる出来栄え。でも、がんばったねぇ…、と一応褒めてあげたくなる。

まずソースをつけずにそのままパクリ。ふっかりとしたバンズにしっとりとしたハンバーグ。やわらかで肉の香りはやさしくて「パテ」と呼ぶにはなめらかで。ハンバーガーじゃなくて、ハンバーグサンドイッチだと思えばこれほどおいしい食べ物はない。
エスプレッソソースをかけて食べてるみる。肉の匂いがスッキリとしてエスプレッソ由来の苦味と酸味が、やさしい味わいのハンバーグを香ばしく焼き上がったパテのような味わいにする。オモシロイ!

ただクラムチャウダーはシャビシャビでした。薄くて水っぽくってかつてのおいしさがまるでなし。フレンチフライもフニャフニャで、いろいろ残念。モスはやっぱりモスバーガーに注力すればいいんじゃないかって思ったりする。勿体無い。


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