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虫養い

有楽町で虫養い。駅前にある交通会館の地下一階。

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甘味のおかめにやってくる。
マダムな店です。お客様もお店の人も女性がメイン。
ただ甘党男子も少なからずいるもので、今日もボクを含めておじさん3名。背筋伸ばして笑顔で甘味を食べている。

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お店の人にも出汁をひいたり力仕事をしたりする男子スタッフもいて、でもほとんどは厨房の奥で目立たぬように仕事をしてる。
たまに表に出てくることがあるのだけれど、背中を丸め体を小さくよそおって小走りに出たり入ったり、目立たぬように心がけてる。なんだかそれがやさしく見えて、ボクも体を小さくします(笑)。
いい甘味処には魅力的な小腹満たしの料理があってくれるもの。だって腹ペコなところに甘いものをいれるより、ちょっとお腹が満たされからの甘味がおいしく感じるから。

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きしめん、雑煮、おでんとお腹にやさしい料理が揃う。小腹満たしの料理の中から代表的なものを弁当箱にぎっしり詰め込んだのが「おかめ弁当」。

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出汁をたっぷり含んだおでん。大根、はんぺん、ちくわにごぼ天、それからこんにゃく。色がそれほど濃くなっているわけじゃないのに味がしっかり入ってて噛むとジュワッと出汁を吐き出し口を潤す。

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ご飯が2種類。ひとつは赤飯。もち米がもっちりとして硬めのささげがホロリと崩れる感じにホッとする。
もう一種類は茶飯。おでんの出汁で炊いたご飯で、炊き込みご飯と違って具はまるでない他の料理の味を引き立ておいしくさせる縁の下の力持ち。料理すべてが主役になりたがるとその食卓は想像してく、こういう料理がおいしいことの粋を感じる。オゴチソウ。

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最後の料理が焼きそばで、これがおいしい。
ソースの焦げた香りがおいしくて、味は程よい。
出汁の旨味を感じるやさしさ。

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豚ひき肉がたっぷり入って、シャキシャキとしたモヤシの食感が心地よい。
なにより熱い。
不用意に口に運ぶと舌がお手玉してしまうほど。
麺は歯切れが良くて硬めの仕上がり。口の中をにぎやかにして消えていく。お祭り屋台の味でなく、ご家庭風でもなくてあくまでおかめ的。ウットリしながら小腹が満ちる。
せっかくだから甘味もひとつ食べておきたく先日、はじめて食べてたちまちオキニイリリスト入りを果たした「杏みつまめ」をたのむことにした。

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みつ豆の上に2色の求肥がのっかり、周りを干した杏が取り囲んでいる。
この杏がふっくらしていてしっとりでもあり、甘くてしかもキリッと酸っぱい。杏独特の酸っぱくてふくよかな香りも優雅。

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黒蜜がついてくるけどそのまま寒天をツルンと食べる。コリッと一瞬固くて、にもかかわらずあっけなく砕けて散らかる。砕けながらもずっと口の中でスベスベしていて天草の磯の香りは力強い。

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黒蜜をかけるとトロンとスベスベの肌を覆ってなまめかしくも口でとろける。オキニイリの豆かんに比べて控えめな量の小豆がホロっと砕けて味や食感のアクセントになる。

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おいしいなぁ…、スベスベとふっくら。甘みに酸味。豆かんのストイックな世界も好きだけど、杏みつ豆の可憐な愛らしさもいいなと思う。オキニイリ。


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