見出し画像

金よりも人の商売

いつものように仙台の勉強会を終え昼ごはん。
利久で牛たんを食べることにする。

仙台だけじゃなくて日本全国に支店を出してるチェーン店。だから東京でも食べることができる。実際、東京のお店でもよく食べるのだけど、なぜなんだろう…。
仙台で食べるほうがずっとおいしく感じたりする。

「本場で食べてる」という充実感がおいしくさせているところもあるにはある。けれど仙台にあるどの店でいつ食べてもやっぱり東京で食べるよりもおいしくて、それはおそらく「本物の牛たんを食べて育った人が作って提供している」からじゃないかと思うのです。
昔、福岡のうどんの名店「牧のうどん」で取材したとき、金を出すから東京に出店しないかという話がよくある。金ならうちは困っていない。牧のうどんを食べて育った陽気なおばさんを20人揃えてくれたら出店します…、って言うとみんな帰ってくっておっしゃっていた。「金より人」の飲食店。

マニュアルやシステムにできない何かが料理の世界にはあるものです。
それを食べて育った人だけがもつ「基準」であったり「愛着」が料理をおいしくしてくれる。数字や文字にはならない何かがあるんだろうなぁ…、って今日もしみじみ思って食べる。

塩味の牛たんに味噌漬け牛たん。ザクッと表面が焦げて仕上がり、表面に入れた切り目がめくれるように焼かれてて、炭にこぼれた脂が揮発してつけたおいしい香りがまた格別。

ホロホロ崩れて骨から外れるテール肉。その味わいをたたえたスープにたっぷりのネギ。漬物、南蛮味噌に麦飯と変わらぬものがこんなにいつもおいしいなんて、ステキだなぁ…、って思ってお腹も満たされる。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?