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せっかくのパリパリを台無しにするからおいしいフカヒレ焼きそば

ひさしぶりの「頂上麺」で焼きそばにする。

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東京駅のキッチンストリートにあるオキニイリの店。この施設ができたときからずっと変わらずフカヒレの麺の専門店としてやっている店。
フカヒレスープで麺を煮込んだ「頂上麺」が売り物。
味わいといい贅沢さといいたしかに麺世界の頂上のひとつに君臨する料理ではある。
ただボクが好きなのは麺を煮込むのでなく、焼いた麺に煮込んだフカヒレスープをかける焼きそば仕立て。
今日もそれを注文します。

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それにしてもこのステンレスでできたカウンター。
できたときには冷たく感じた。まるで実験室みたいだなぁ…、と感じたけれど、今となっては清潔を保ちやすい素材と感じる。気持ちはすっかり様変わり。
提供されるおしぼりの袋に「抗ウィルス」と書かれてる。そんな時代でございます。

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さて目当ての「ふかひれの煮込み焼きそば」。
陶器をまず焼いておく。
蓄熱しやすい器で、そこにパリパリに焼いた極細の麺。
柄付きの陶器の鉢に熱々のフカヒレ煮込みをザザッとかける。

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ジューッと湿った音と一緒に、湯気が湧く。
おいしい香りをたたえた湯気で、カウンターの上に置かれたあともずっと湯気が湧く。

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湯気と一緒にふかひれあんの沸騰がしばらく続く。最初は大きく、それが徐々に小さくなって落ち着いたあともずっと細かくフツフツ泡立つ。熱い。
ふかひれあんはぽってり、なめらか。味わい深くてオイスターソースの香りにスープ自体の持ち味が混じって口の中を潤す。胡椒をたっぷり。黒酢をかけるとスープのうま味に奥行きが出て、味がずっと持続する。

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パリパリになるまで焼いた蒸し麺です。表面がまるで揚がったように焦げて仕上がり、ポリッと壊れる。芯に向かって行くにしたがい、麺本来のやわらかさが残ってクシュッと潰れていくのも心地よい。
小さな穴が無数にあいた麺ゆえ、ふかひれあんを吸い込んでまるで煮込んだ麺のようにやわらかになる。

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スープが麺の形をなして口の中へとやってくる…、という不思議な食感。これが好き。
餡が絡んでネットリとした麺はズルンと口へと飛び込んで、ふかひれスープの濃厚な味で口を満たして消えていく。パリパリ感を残した麺は口を騒々しくしてくれて二つの麺の食感たのしみ器は空っぽ。お腹は満ちてあったまる。


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