中華麺に和出汁をかけてぶっかけ中華

画像1 牛込柳町という東京の都心にあって、陸の孤島のような街に白河そばという立ち食い蕎麦の店がある。 そばにひもかわうどん、そして醤油を使わず塩と出汁だけで作った汁が名物の店。
画像2 普通、蕎麦やうどんの汁といえば出汁の旨味と醤油の風味で味が整う。 醤油がないと足りない風味を出汁や薬味から借りてこないと、おいしいけれど物足りない味になるから、整えるのがむつかしい。 白河そばの汁はおいしい。 出汁そのものの旨味がしっかりしているのですネ。 それに塩と出汁だけなのに、その配合の仕方や状態が考えつくされているのでしょう…、何かが焦げたような香ばしさすら感じさせるのに感心します。
画像3 そのおいしい塩出汁だからこその個性的な料理があって、それがたまらなく好き。 「ぶっかけ中華」という名前。 中華麺にそば用の塩出汁をかけて仕上げた料理なんです。
画像4 中華麺を茹でて冷水でグイグイしめる。 表面ツルツル、芯まで冷えた麺はゴリゴリ、歯ごたえがよい。 そこに冷たいそばのかけつゆをかけて仕上げた和中混合的なる料理。 つゆもキンキンに冷やされて器を持つと指がキーンっと冷たくなるのが見事な先味。
画像5 鰹節や昆布や塩で仕上げた塩出汁は明るい黄金色したスープで、薬味やあとがけ調味料で味の印象がガラッと変わる。 これには天かす、わかめに刻んだ海苔がたっぷり。千切りにした油揚げ浮かべてひと揃えとする。
画像6 そのまま食べるとスッキリとした和風の出汁が口に広がり中華麺も日本そばのようにふるまう。ところがそこに「ダチ油」というオリジナルの辛味油を足すと冷やしラーメンのようになってく。 オモシロイったらありゃしない。 なにより「中華麺に和風の出汁」という組み合わせがなんでこんなにおいしいんだろう。そのおいしさを引き立てる「油の力」につくづく感心。 そう言えば、そうめんをラー油を垂らしたつけ汁で食べると中国料理のようになるもんな…、って思ったりもした。
画像7 ちなみに兵庫県の姫路に「まねき」という駅そばがある。 その駅そばが、中華麺に和風出汁をかけたモノで、戦後からずっと名物としてかわらぬあるというのです。一度だけ食べたことがある。チュルチュルとした麺にやさしい和風出汁。上にカップ麺についてくるようなかきあげがのっかっていて、それがほぐれて油になると気持ちがラーメンとそばの間を行ったり来たりするのがとてもたのしかった。オキニイリ。

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