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寒さ、暑さが行ったり来たりする今がおいしいすごもり蕎麦

寒さ、暑さが行ったり来たりする季節に思い出す料理がある。
すごもりそば。

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揚げた日本そばのあんかけで、あったかい料理なんだけど汁そばみたいに熱々じゃない。冷たいわけでもなくて一口目からふうふうせずにたのしめて、今のような季節にほどよい。
それで銀座の「よし田」に来てみる。

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一軒家からビルの中に移転して、最初は風情をなくして寂しく思った。何年もたってそれも落ち着き、新たな風情が生まれた感じ。
老舗なのに気取ったところがまるでなくお店の人はきさくで元気。そばと丼のセットとかが充実しているところもたのしい。
そうそう、鶏ひき肉をまるめてパン粉揚げにしたのをのっけたコロッケそばがここの名物だったりもする。

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今日は迷わずすごもりそば。しかもそれのカレー味。すごもりそばの大抵はそば出汁にとろみをつけたあんかけだけど、ここにはカレーあんかけも用意されているのであります。

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お皿の上にこんもりとしたカレー色の山。
横からのぞくと麺同士がよじれてからまりパリパリになり、まさに鳥の巣。
つややかなカレー餡は具だくさん。
エビにかまぼこ、鶏肉にネギ、それからしいたけ。
蕎麦の下にはかいわれ大根。
てっぺんにはチョコンと茹でたうずらの卵ととてもにぎやか。
まずは揚がったそばをつまんでかじると蕎麦と油の香りが混じって、不思議なおいしさ。ゴリゴリ砕ける感じもたのしい。

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カレー餡と一緒に食べると最初はゴリゴリ騒々しいのに、突然、静かになってカレー南蛮を食べてるみたいな感じになる。中国料理のあんかけ焼きそばに似ているけれど、揚げた蕎麦は水気が抜けて芯がスカスカ。だから砕け感が軽い上、餡とまじるとたちまちしっとりするのがなんだかオモシロイ。

カレーの味はまさに蕎麦屋のカレー南蛮。出汁がしっかりきいていて最初はやさしい。ところが胡椒が案外しっかりきいていて、食べ続けると口がヒリヒリしてきてちょっと汗をかく。
バリバリしていたそばも餡を吸い込みやわらかになる。揚げられ無数のあいた穴からカレーが染み込み、麺そのものがカレーになったような感覚。蕎麦そのものが揚げられたことも自分が蕎麦だったことも忘れてしまうゴチソウ。たっぷり入ったネギがキュッキュと奥歯をくすぐり、ぽってりとした蕎麦の食感引き立てる。

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ランチタイムのサービスに俵型したおむすび一個。それをちぎってカレーに沈めカレー丼のように味わう。満ち足りました、オキニイリ。


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