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まさにまぐろとシャリの店

気になっていたお店があった。
「まぐろとシャリ」という名前の店でマグロの漬け丼の専門店。

銀座で予約の取れぬすし屋がプロデュースしたというのが話題で一時期、ウェブで随分紹介されてた。
評価サイトでは「予約がとれぬ店の寿司が食べられる」ってな期待を持ってきた人たちが散々なレビューを書いていたりしてそれでも評価点はそこそこ高い。
掲載されている赤酢のシャリがおいしそうでネ…。

寿司はシャリ…、って思う派だからそれでずっと来てみたかった。
渋谷の町の外れのビルの中2階。
ガラスの箱のような設え。中で食事をしている人の姿は丸見え。モダンな造り。
開店と同時にきたからすんなり入れた。
ところが食事をしている最中に次々お客さまが集まってきてお店の外にはウェイティングの列。半分以上がインバウンドさん。ちなみにボクの前もインバウンドのカップルで、ビールをたのんでゆっくり食事をしてらっしゃった。

カウンターだけの店。
券売機での先払い。
しかも漬け丼とくれば日本人にとっては、チャチャッと食べて席を立つファストフード系のお店に思える。
けれど海外の人にとってはそんな先入観は通用しない。SUSHIバルだって思えばじっくり時間を使うのも自然ななりゆき。
ちなみにおふたり。7980円をブラックカードで決済しました。
それならじっくりたのしまれてもしょうがない。
シャリとマグロの量で値段が決まるシステム。
どちらも標準量の「中」を選んで1800円。
券売機を買っている間にボクが座るべき場所にお茶と汁が置かれる。
目の前にはわさびにガリ、古漬けが入った容器に煎り胡麻。

カウンターの上に醤油が数種類。そのひとつはスプレイ容器に入ってて、なるほどこれならご飯の上のマグロに適量、しかもスマートに醤油をあしらい食べられる。
女性だけで運営してます。しかもほがらか…、明るい笑顔がいい感じ。

さてマグロの漬け丼。

うつくしい。
赤身メインで中トロ、トロがズラリと並ぶ。
艶っぽくって色もキレイで食欲誘う。マグロ以外には貝割れ大根の彩りだけというのがなんとも潔く、期待をそそる。

赤身を一枚めくってみると下にはこれまたおいしげなシャリ。

赤酢のシャリならではの色あい、しかもご飯の粒の一つひとつが立ってるように感じるステキ。
まず赤身をひと切れそのままで。
ピトッと舌に張り付くような肉感的な舌ざわり。ひんやりとして軽い酸味を舌が感じる。噛むとザクっと歯切れる感じが心地よく、ほどよく浸かった漬けダレは甘み控えめ、醤油の風味がふわっとただよいマグロの持ち味を邪魔しない。素直にうまい…、ご馳走です。

シャリが輪をかけおいしかった。ホツホツとした炊き加減。けれどしっとりみずみずしくて赤酢の風味もほどよく旨い。

マグロにわさびを乗せて食べてはシャリを頬張る。わさびの香りはするけれど辛味はほとんど感じずむしろ甘みがふくらむ。トロ、中トロは脂がとけて口をひんやりさしながら甘みを残して消えていく。

胡麻をパラリとふりかければ油の香りが脂の風味を引き立てる。マグロでシャリを包んで食べれば赤身の握りを食べてるような感覚で、食べ方を工夫すればしただけいろんな味わい、風味をたのしめるのがオモシロイ。

なによりこのシャリのおいしいこと。ガリですらシャリと一緒に食べるとゴチソウ。

最後にわさびをシャリに混ぜ食べたらこれが辛くて辛くて、それがマグロと一緒に食べるとまるで辛くなかったことにびっくりしました。オキニイリ。


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