TGIフライデーズの失敗 : だってパスタにナイフを当てろっていうんだもん…。
TGIフライデーズ。
アメリカンビストロを名乗る、アメリカでは人気のチェーン店。日本に連れてきたのは居酒屋チェーンのワタミで、事業をはじめた当初の計画通りならもう200店くらいにはなっていたはず。
モタモタしました。
日本とアメリカの食習慣の違い、おいしい料理の基準やサービススタイルの水を埋めることがなかなかできず、それでモタモタ。
ただ、最近、ちょっとづつお店が増えてもいるようで、たとえばこの東京ドームにできた店。
バーカウンターがお店のメインにドンッとあり大人の集まるお店というのがTGIFのコンセプトで、それを思うなら東京ドームというファミリーも対象とした場所でお店をやるというのはかなりの挑戦。
果たして昼の客層はファミリーメインで、おしゃれなファミレス。近所の場外馬券場のおじさんたちに占拠されるよりもいいのだろうけど、ここのこのメニューで果たしていいのか…、って思ったりする。
たのんだ料理は2種類です。サラダとメインのパスタの料理。
それと一緒にアイスティーをたのんだら、ウェイターがディスペンサーから注いでそれを持ってくる。バーが近くにあるのにね、こっちの方が簡単だからそういうことにしたのでしょうけど、ならばバーなんていらないじゃんって思って笑う。
コンセプト=店造りってことがバブルの時代にはよくあったけどそんな時代を彷彿とする不思議な景色。そのうち飲み物はドリンクバーで飲み放題…、なんてことになってくのでしょう。
そもそもワタミのビジネスモデルは原価の安い飲み物を高い値段で売ってこそ利益を確保できるというもの。商売の基本が揺らぐ由々しき出来事でござんしょう。
ちなみにたのんだ料理の商品説明がこんな感じ。
チポトレユカタンチキンサラダ
ガーリック、オレガノ、ケイジャンスパイスでしっかりシーズニングし風味豊かにローストしたチキンを、アボカド、チーズ、トマト、レッドオニオン、シアントロ、トルティアを混ぜ合わせ、ミックスしたサラダにのせました。サッパリとしたシアントロライムドレッシングと酸味の効いたシラチャアイオリをかけて提供いたします。
英語のメニューの直訳なんでしょう。ここは日本じゃないの感がじんわり伝わり、でもそれが「気取ってんじゃないよ」の方に向かう寸前みたいな感じ。面倒くさい。
ちなみにメインのパスタの上にはチキングリルがペロンと一枚、乗っかっている。これを食べようと思うと当然、ナイフで切らなきゃいかずそれはそのまま麺に刃(やいば)を向けることになっちゃうわけです。
イギリスやアメリカの人たちは平気でロングパスタを切り刻み、フォークやスプーンですくって食べる。だからこういう商品づくりもOKなんだろうけど、日本人にとって麺とは聖なる存在です。長い麺を啜りあげ途中で歯切ることすらバッドマナーと言われる国で、これはなかろう。
でも塊がのっているからこその値段をとっているから、しょうがないに違いなく味動向の問題じゃない問題の根は深いだろうと思ってしんみり。
好きな店だし、なくなってしまうと寂しくなっちゃうに違いなから、なお悩ましい。