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昭和モダンな喫茶店でハムトースト

東北から東京に戻る。出張から帰ってくるとホッとする。
家に帰る前に軽く食事をしておきましょう…、とヤエチカに来る。
1965年に東京駅前に出来た地下街。
大阪のドーチカに次いで日本で二番目に大きい。

いつもどこかでリニューアルとか店舗入れ替えがされていてしばらく来ないと迷っちゃうほど。
サンドイッチを食べようと「アロマ」を選ぶ。

東に向かってをずんずん歩き、まもなく地下街が終わる手前のちょっと静かなエリアにある。
ヤエチカのお店の中でも古参のひとつ。ちょっと変わった構造の店。

通路から4段下がったところに客席フロアがあるんです。
だから窓がちょっと上の方にあって半地下みたいな雰囲気がある。
天井も若干高くてのびのびとしたいい空間。
この地下街でこの店だけがこういう構造。東京の地下にはいろんなものが埋まってて容易に下に向かって掘れない。ましてや地下街。なぜこの店だけが…、って来るたび思う。

昭和なムードの喫茶店。椅子もテーブルも使い込まれて時間が止まったように感じる。
硬い椅子。背当ても垂直についていてテーブルだって小さくて、なのに居心地いいのが不思議。
一段上がったところにサイフォンが並ぶカウンター。中が厨房。
カウンターは合皮のチューブがクッションのように巻き付いていてダクトの覆いは造り付け。キレイに磨き上げられピカピカしてる。
昔はタバコが吸えた店。その頃は高い天井の上の方にまで煙がたなびき目が痛くなったものです。禁煙になった今は空気がきれいでありがたい。

テーブルの上には砂糖の入ったステンレスのポット。塩の中にはコーヒー豆が入ってる。
どちらも昭和。いい感じ。

サンドイッチのメニューは多彩。
トーストのサンドイッチと普通のサンドイッチがあって、どちらもボリュームたっぷり。
「ハムトースト」を選んでたのみ、アイスコーヒーをお供にもらう。
まずアイスコーヒーがやってくる。

真鍮製のマグに入ってたっぷりと。ミルクもピッチャーにたっぷりはいってひえひえ。たっぷり注ぐ。

ちなみにアイスコーヒーはあらかじめ甘くしてもらって味わいやわらか。
しばらく待ってハムトーストがやってくる。

パンがキレイに焼けていること…、うっとりします。
トーストを4切れにして縦横互い違いに並べているのもうつくしく、食べる前からもうおいしい。

挟まれているのは薄切りのハムが2枚にレタスだけ。バターと芥子とマヨネーズがそれぞれほんの薄塗りで、それぞれの素材の持ち味同士が混じり合うことで味が仕上がる。
おいしいんですよね…、味もいいけど食感がいい。
焼けたトーストがカサカサ前歯をくすぐってレタスがシャキッ、ハムがムチュン。トーストの香りもなんとも香ばしい。

耳の焦げたところがザクザク壊れる感じがこれまたおいしくて、ひと口ごとにお腹が笑う。

コーヒーゼリーがデザートでついてくるのもありがたく、しばらくぼんやり。家に向かってのんびりと。


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