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野菜で飲む酒、飲める年頃

野菜なんかで酒が飲めるか…。
若い頃はそんなふうに思ってた。鶏の唐揚げ、豚の角煮や焼き魚。刺身もいいけど生のモノで酒を飲むと、酒の味が薄まるようで損した感じがしたものでした。

ところが最近、野菜で酒を飲めるようになった。
年をかさねたからでしょう。

何しろ先日、塚田農場にいってチキン南蛮や焼いた地鶏と一緒にたのんだ「ガリトマト」って料理が酒にあうのにビックリしました。
スピードメニューとして紹介されてて、トマトスライスにガリを刻んでのっけただけ。
なのにこれがびっくりするほどおいしくて、ガリの甘酢とカリカリガリガリした食感がトマトをおいしくしてくれる。しかも酒がおいしいのです。

そういえばボクのじぃさんは野菜の煮付けで酒を飲んでた。
小さなボクを膝にのっけて、ビールをトクトク、手酌でグラスに注ぎながら大根の煮付けや煮た里芋をおいしそうに食べていた。
里芋が好きだったボクがねだると、箸に挿して一個差し出しそれを食べるとすかさずビールの泡を指ですくって、ボクの口に差し出した。
一足先の大人のたのしみ…(笑)。

弁松っていう歌舞伎幕間の弁当で有名な店に「甘煮」という料理がある。
今のように保存料がなかった時代に砂糖をたっぷり使って料理を長持ちさせる工夫の料理で、本当に甘い。
野菜の甘煮に「つとぶ」を足せば、お酒がすすむ大人のゴチソウ。
すだれのような調理器具、「つと」で巻いて仕上げた麸だからつとぶ。ムチムチしていてとろける感じがたのしい煮物。
里芋、筍、ゴボウにニンジン、しいたけと何を食べても甘いのに野菜それぞれの風味がするのに感心しつつ、中でも甘い里芋を食べながらビールを飲むと、じぃさんの膝の上のあの日のコトを思い出す。

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