見出し画像

炎がおいしくする魚

打ち合わせがちょっと長引き、昼のお腹がグーグーなった。
時間は1時半ちょっとすぎ。ランチタイムのラストオーダーが終わった店が多い中、まだやっていたオキニイリ。
新宿二丁目の「炉庵」を選ぶ。

なんとウェイティングが10人近く。人気のあることにまずビックリ。
ちょうど入れ替わりのタイミングだったのでしょう…、5分ちょっとでカウンター席に案内される。
10人ちょっとが座れる大きなカウンター。
その真中に炭場があって、串に刺した魚を炭の周りに立てて焼いている。

串を置く位置、その傾きを加減しながら何度も何度も方向をかえじっくり焼いてく様子がおいしい。
魚の脂が滲み出し、串伝いにたれて炭場を満たす砂に染み込む。脂の一部は炭に垂れ落ち、煙になって魚の表面を燻してく。

焼かれた鯖の皮にいくつもの大きなあぶくのような膨らみが浮き上がって、バリッと焼けていく様に思わずつばを飲み込んだ。

銀だらの西京焼きがあるかと思ってきたのだけれど、すでに売り切れ。
銀鮭の塩焼きをもらって酢の物追加。

みそ汁に飯、漬物、小鉢がついて1100円といううれしい値段。
注文したとき「ご飯は大盛り?」って聞いてくれることにちょっとニッコリ。
普通でってお願いをしてのんびり待って出来上がり。
分厚い切り身のうつくしい鮭。

皮がバリッと焼けてることにウットリします。
箸をあてるとホロリと崩れておいしい匂いの湯気がふわりと立ち上がる。
塩をしっかりほどこし焼けててなにもつけずにそのままおいしい。鮭独特の香りと旨み、脂の甘みが口の中でパレードするようなオゴチソウ。添えられていた大根おろしは鮭のためというよりご飯のおかず…、そんな感覚。

軟骨をとり小骨をしゃぶり、骨の周りの肉までせせる。おいしい魚を目の前にしてすっかりお行儀よくすることを忘れちゃう(笑)。
ここの酢の物がいつも贅沢。

わかめにきゅうり、それに必ず魚と茹で貝。今日はアサリのむき身がたっぷり。魚は鮭のハラスの湯引き。甘み控えめでスッキリとした酸味がおいしく、ご飯もすすむ。
ごぼう、ニンジン、こんにゃくで作ったきんぴら。酸茎の漬物、大根とお麩を実にしたみそ汁とどれもご飯をおいしくさせる。

バリッと焼けた鮭の皮なら食べられる。昔はまるで食べられなくてタナカくんのお腹にいつも収まっていた。こんなにおいしいのを独り占めしてたんだなぁ…、って今では思う。オキニイリ。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?