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手で食べること、手で食べるもの①
寿司は手で食べるように出来ている。
箸で食べるより手で食べた方がおいしいに決まっている…、と言われます。
ボクもそうだと思う派だけど、日本を代表するとされる料理評論家。銀座のとあるすし屋が大好きな人ですけれど、彼は寿司を箸で食べる。
なぜ箸で食べるのですか?と聞かれた彼はこう答えます。
僕は40年近く前から銀座の某店に通っていますが、ガイドブックを出すというのに、昔はお金がなくて、鮨屋をはしごして少量ずつ食べたりしていました。
一軒目で6つ食べ、「すきやばし次郎」でも同じ種類を6つ食べる。それで値段やクオリティを比べていたんです。
ある時、2軒目に「すきやばし次郎」で食べたら手が生臭くて、前のお店のお魚が匂ったんだと思って。
それから箸で食べるようになりました。
笑止千万。匂いがつくのが嫌だったら、手を洗え!
この対談では「実は箸で食べる方がむつかしいんです」と言いながら器用に箸を使って寿司を取り上げるさまを自慢げに披露しているのだけれど、料理評論家たるものおいしいものを最もおいしい状態で食べることに全身全霊を傾けるべきであるのに、箸使いが上手であることを自慢するとはどうしたことか…、と呆れ返ってしまいました。
今日は手で食べること。
それは「人に与えられた神聖な行為である」という話をしましょう。
にもかかわらず、なぜ人は手で食べぬことも選び、けれど手で食べることを忘れることができないのか…、なんてお話、いたします。
ヨーロッパでも料理は手づかみして食べるものだった
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