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ポークピカタにエビピラフ

週末、いろんなことを思い出しちょっと気持ちが寂しくなった。
さみしいときには思い出から逃げるのじゃなく、思い出の場所に身をおいて思い出と向き合うことが本当の癒やしになるだろうと、それで思い出の場所にくる。

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若松町の「かどや」っていう店。
両親がここの近所に住んでいた。今でもボクの本籍はかつての両親の家にある。
両親とよく来た店です。毎週、日曜に実家に帰る楽しみは母が作る手料理だった。けれどたまに外食したいってときに来てたのがこの店で、何もしないで料理を食べて帰れることに、のんびりくつろぐ母の姿がたのしげだった。

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父は必ずエビフライ。ボクらはいろんなものをあれこれたのんでたのしんだけど母が中でも「これ、おいしいネ」って言った料理がポークピカタで、今日はそれをメインにたのむ。

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セットにしないで単品でとり、ご飯がわりにエビピラフ。お供に漬物、味噌汁をつけてひと揃え。
ここの漬物は本当においしい。きゅうりに茄子に蕪にだいこん。おかぁさんの手作りぬか漬けでその時々でつかり具合にバラつきがある。今日は茄子が浅めで大根がキリッと酸っぱく食欲湧かす良い加減。量もたっぷりでサラダがわりと決め込んで、シャキシャキカリカリ料理を待った。

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それにしてもこんな店にも飛沫感染予防の衝立。厨房とカウンターの間に透明シートが張られてる。油を使うお店は掃除が大変だろうなぁ…、って思う。

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ソースや芥子もポーションパックにかわったし、おおらかだったかつてがちょっとなつかしい。

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さてポークピカタ。
分厚い豚肉に粉と溶いた玉子をまとわせしっとり焼き上げたもの。
この厚さの豚肉をやわらかく、しかもふっくら芯まで熱を通すことはなかなかできない芸当で、しかも玉子の衣がどこも剥がれず仕上がる見事。
ナイフを使わずムチュンと歯切れて甘い肉汁を吐き出しながらクチャっと潰れる。

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ところどころが焦げた玉子が豚肉の肉汁や溶けた脂をすいこみおいしいたらありゃしない。缶詰のパイナップルの甘みも決して嫌味じゃなくてみずみずしさが焼けた豚肉をおいしくさせるよきアクセント。
こういう料理はコックさんじゃなきゃ作れないわね…、ってそれが母がこれを好きだった多分一番の理由だったに違いない。千切りキャベツにキュウリにトマト。いかにも洋食屋さんのスパゲティーのケチャップ炒めって感じのサイドもオゴチソウ。

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エビフライ用の立派なエビを豪快にぶつ切りしたのをたっぷり使ったエビピラフ。厨房の方からカタンカタンとフライパンを何度も細かく叩きつけるような音がして、おいしい匂いと一緒に完成。ココット皿に盛り付けてやってくる。

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エビ以外にはピーマン、タマネギ。そして缶詰のマッシュルームとレーズンが結構いっぱいはいっているのがタナカくんには悔しかったようで、ワシワシ勢いつけた食べたいのに注意しながら食べなきゃいけない…、ってそれでももりもり食べていたのがなつかしい。

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ここの味噌汁が本当においしい。しっかりとした出汁に甘めの米の味噌。豚バラ肉の端材にネギにジャガイモ、ニンジン。ホッとするような味わいでお腹の中から元気が湧いてやってくる。


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