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ホットドッグの誕生を考える…。

ホットドッグとは一体どういう食べ物なのか。
グリルしたりボイルしたりしたソーセージを冷まさないよう熱々のパンで挟んでみたら、これが案外おいしかった…、という説がある。
うな重の誕生が、鰻の蒲焼きを出前するのにそのままだと冷めてしまうからご飯の上にのせてみた。乾くこともないし温かいままで届けられるから、それが定着したんだという説に似ていて、多分、そうじゃないかと思う。

とするならば、ホットドッグの主役はあきらかにソーセージ。
ソーセージがおいしくないホットドッグ。
あるいは、おいしいソーセージの持ち味を邪魔するようなパンを使ったホットドッグは失敗作だということにもなる。

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…、とそんなことを新宿のベルクという店で思い出す。
新宿駅の改札近くにある小さな店で、ビールがおいしい。
コーヒーもおいしくて、ビールやコーヒーのお供のハムやソーセージ、あるいはそれらを使ったホットドッグやサンドイッチがおいしいというので人気のお店。

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ボクが好きなのはビッグドッグ。
それにクワトロチーズをトッピングするというもの。
大きくて太いソーセージを使った料理です。それで「茹でるお時間を5分ほど頂戴いたしますので」と言われて呼び出し用のビーパーをわたされる。お供の朝のカフェオレをビーパーと一緒にどうぞと手渡され、テーブルにつきのんびりと待つ。

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座ったのはキッチン正面。ホットドッグやサンドイッチを作る手元が見える位置。大きなソーセージが温め上がり、溶けたチーズをかけて仕上げる様子が見えて、そろそろボクの朝ご飯が仕上がるんだろうなって思う。5分弱。テーブルにおいたビーパーがブルブル震えてビッグドッグの完成告げる。

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ちょっと不格好なドッグロール。キレイな円弧を描いて反っくり返り、ドグロールからはみ出す立派なソーセージ。ソーセージの上から注いだ溶けたチーズがパンの切れ目から溢れ出してツヤツヤ光る。

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なんと見事でうつくしい。
ソーセージはパーンッと張りつめシワひとつなく、それに対して溢れ出しているチーズはゆっくり冷えて、キレイなドレープが入ってくる。
手作りにしたソーセージってその両端が個性的。
一方はツルンと丸くて、もう一方は親指の爪のようにいびつに凹んでる。
どっちが前でどっちが後ろなんだろう…、って思いながらパキッと爪の方を折る。

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メッシュ細かな豚の挽き肉。断面なめらか。肉汁がじわりとしみ出し口に含むとおいしいジュースで口が潤う。上品な旨味の中に肉の酸味が混じって後口、スッキリさせる。おゴチソウ。

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パンはふっかり。空気をたっぷり含んでやかれて噛むとクシュッと縮んで歯切れる。口の中に入った途端にそれがフカッと膨らんで、口の中をやんわり満たす。
プチュンプチュンとソーセージが歯切れ続けて、ムチュンムチュンとパンと混じってトロリ、チーズと一緒にとろける。パンに比べてソーセージが太く大きく、そのボリューム感は圧倒的で、なのにソーセージだけを食べるよりもパンの食感が混じった方がなぜだかソーセージの存在感を強く感じる。ホットドッグって不思議な食べ物。
オキニイリ。


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