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工場付きの鰻屋なのか、鰻屋付きの工場なのか…。

名古屋の北側、北名古屋市に「中庄」といううなぎ屋がある。

最近、東京でも「うなぎ4代目菊川」という名前で積極的に店舗を増やしている会社の本社に併設されたレストラン。
一階は仕入れたうなぎを水に打たせることでお腹の中をキレイにする下準備から捌いて仕込みをする工場。2階はオフィスという大きな建物。
その一階。

客席は18席と小さいながらも上質なモダンな設らえ。ガラスの壁を通して工場が間近に見えて、ワクワクしてくる。天井からうなぎを収めた樽に向かって、絶えず水が降り注ぐ様子をみると、うなぎは水でおいしくなるんだってしみじみ思う。
富士山の伏流水が豊富な三島。球磨川の上質な水をふんだんに使える人吉。おいしいうなぎ屋が多い地域は確かに水がおいしい地域。
ちなみに愛知はうなぎ生産量が日本で2番目。うなぎ屋さんの繁盛店が多いとこ。創意工夫に溢れたお店が次々できる。

デザインが行き届いてます。店のみならずメニューもキレイで整っている。開くと左がひつまぶし、右が鰻丼。どちらもハーフ、並、上に特上と4種類。うなぎの量が半尾単位で増えていくという構成で、ただよく見るとひつまぶしの方だけフォントが太くて大きい。丼よりひつまぶしが推しというメッセージ。
それ以外は蒲焼、白焼き、う巻きにきも焼き、骨せんべいで料理は全部。鰻丼ハーフに白焼き、う巻ききも焼きを選んでたのむ。

う巻きは出汁に浸して出てくる。明石焼きをイメージしたって創作料理。

肝は大きくぷっくら膨れこんがり焼けてテカテカしてる。噛むとブチっと爆ぜて潰れて苦みを旨みを口に広げる。

鰻丼ハーフがやってくる。

特注の四角い器。蓋を開けると鰻半尾がご飯を覆う。

大きく分厚い脂ののった鰻です。タレをまとって艶っぽく、分厚くどっしり。圧倒的。太っている分、脂が強く分量以上のボリューム感に食べ応え。タレは甘辛、香ばしい。

そして白焼き。

蒸さずに地焼き。自分の脂で揚がった用に仕上がっていて、表面に細かな脂の泡がびっしり。
バリっとしてます。
じゅわっと脂が滲みだし、口の中を涼しくながらとろけてく。わさびに塩に白醤油が添えられていて、わさびをたっぷりのっけるも脂のせいで甘く感じてしまうほど。
皮の部分がザクザク壊れる食感、風味が骨せんべいを食べるように感じるほどに香ばしく、凄味のある味。蒲焼よりも白焼きの方が感動的でボクは好き。

鰻丼の上に白焼き、きも焼きをのせて鰻三昧丼にする。ミルに入った山椒の実をひいてパラリとほどこし食べる。体がどんどんあったまり血糖値が上がってきたのか汗をかくのがオモシロイ。
鰻丼には肝吸い、茶碗蒸しに漬物がつく。茶碗蒸しは上にうなぎの蒲焼をのせ銀餡で蓋したスタイル。フルフル卵にぽってりあんで口がやさしく潤う感じ。うなぎでもてなす…、って感じがステキ。悪くない。

ただ鰻の脂が強烈で鰻丼として食べるとちょっとお腹に思い。おすすめ通りひつまぶしとして食べたほうが良かったかもな…、とちょっと反省。よい勉強。

食事を終えて丼の蓋をしようと思ったら、蓋が実は長方形だと気がついた。正方形に見えた器や蓋なのに、じっくり見ると長方形。それで初めて正方形に見える企み。目の錯覚まで計算してるとしたら見事でございます。


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