見出し画像

焼肉と冷麺

そろそろ桜が咲く季節。ちょうど一年前の今頃に、まだ桜がほとんど咲いていない新宿御苑を散歩したあと、焼肉を食べたお店が長春館。

画像1

それがタナカくんと最後に食べた焼肉だった。
一番好きだったのは近所の龍の巣。けれど当時は昼の営業をしていなくって、それでここを代わりに選んだ。
龍の巣はホルモンがおいしい店。ここは赤肉がおいしい店で、直球勝負の昔ながらの焼肉屋さん。

画像3

水を張ったステンレス製のボウルの中に、真っ赤な炭を入れた鉄鍋に網を置くという昔ながらのスタイルで、ぼんやりしてると焼きすぎちゃう。だからそのときもボクは食べるより焼くほうに忙しくって、何をどんなふうに食べたか今でも思い出せない。おいしそうに食べる彼の顔はしっかり思い出すのに…、しょうがない。

画像2

今日はひとりでカウンター。
半年ほど前に改装されたダクトが上に内蔵されてピカピカ。
座り心地がよくて快適。
おひとり様に便利なように、肉にサラダやキムチ、ナムルが入ってくる松花堂が用意されてる。

画像4

好きな肉を選べて、ここではまず和牛のカルビを選んでた。
ふたりで来れば、カルビとハラミ、それから牛タン。
それぞれ単品でたのんで昼からモクモク焼いてモリモリ食べてた。
それぞれ上モノも用意されているんだけれど、普通のものでも十分脂がのっていて、むしろ程よい。ほどよき厚さに切られたカルビにはタレが軽く揉み込まれ、ご飯とわかめスープがついてひと揃え。

画像5

そういえばお店の上はホテルになってる。
高松に住んでた頃に一度泊まったことがあるんだってタナカくんは言っていたけど、一晩、お腹をすかせていたに違いない(笑)。
そのときここでは食べなかったの?って聞いたら、忙しかったし焼肉なんて贅沢だったから…、って。
もう30年ほども前のこと。
たしかに当時、焼肉なんて本当に贅沢な食べ物だった。
なつかしい。

画像6

サシがきれいに入った肉がキレイで肉感的。
肉もおいしいけれどタレもいい。甘み控えめ、スッキリとした味わいで肉の持ち味、脂の甘味を邪魔しない。
自由に使える辛味噌は辛いだけじゃなく旨味と豊かな塩気があってタナカくんはこれが本当に好きだった。タレに溶かすと言うよりもこの味噌をタレで薄めたような感じで食べていた。
追加でハラミを塩でもらった。塩と胡椒をふりかけたハラミの肉は焼くとサクッと香ばしくなる。そのまま食べれば一口大のハラミステーキになるんだろうけど、ごま油に塩を溶いたタレにつけると、不思議なほどに焼肉屋さんの味になるのがオモシロイ。

画像7

ここの冷麺が本当においしく大好きで、今日もご飯のお供に食べる。
旨味と滋味が溶け込んだどっしりとした冷たいスープ。茹でてほぐした鶏むね肉に、茹でた玉子にキムチにトマトにパイナップル。具材たっぷりでスープに浮かんだサラダのよう。

画像8

特においしいのがキャベツのキムチ。ザクザク歯切れて甘くておいしい。刻んだネギと胡麻の風味もよきアクセント。
ちなみにこれに焼いた塩物をのっけて麺と一緒に食べるというのが好きで、今日もハラミを焼いてのっけた。焦げた香りや肉の脂がスープと出会って不思議なコクと風味が広がる。

画像9

最初は透き通っていたスープにキムチの色が移って辛みもついてくる。今日もおいしかったよ…、また来よう。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?