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八ツ手屋の「中」。なつかしい天丼
午後から大手町で打ち合わせ。
歩いて向かう途中で昼をと「八ツ手屋」に寄る。
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前回来てからまもなく一年。来るたびタナカくんのことを思い出す。
天丼の「上」を悦に入ってたのむボクに「こういうお店は往々にして安い料理がおいしいんだよ」って「中」をたのんだ。食べ比べしたら「中」がしみじみおいしくてネ。
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安い料理を大切にするお店は好き…、ってニコニコしながら食べていた。
なつかしいなぁ…。外観もお店の中も昭和風情の佇まい。とは言え創業大正5年。正確には大正風情と呼ばねばならん。
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お店に近づくと天ぷらを揚げるおいしい香りがしてきてお腹をならす。
中天丼をたのんで待ちます。
親子夫婦4人ではじめた店で、だから料理を作る手が8つ。それで八ツ手屋。今はお母さんと息子さん夫婦の3人でやってらっしゃってだから六ツ手屋。それもよし。
まずお茶にタクワン。
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上天丼には大根やキャベツ、ニンジンの漬物がつく。酸っぱくっておいしいんだけどタクワンふた切れという潔さもなかなかにいよい。お茶の熱さが身にしみる。
厨房の中はにぎやか。シュワシュワ油が沸く音がしておいしい匂いがやってくる。
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まもなく天丼が仕上がるタイミングで、そうめんと三つ葉の入ったおすましが来て、ちょっと遅れて天丼の「中」。
ご飯少なめでお願いしました。
それでも量はたっぷりで、そして熱々。
湯気がふわっと漂っている。
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中天丼は中くらいのサイズのエビが2本と大きなかき揚げ。「中くらいのサイズのエビ」というのが中天丼の名前の由来かしらと思う。900円。
尻尾の大きさと全体のサイズのバランスがしっかりとれた…、つまり伸ばしすぎない正直なエビ。
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かき揚げには刻んだイカのゲソや耳、それから玉ねぎ。エビの天ぷらもかき揚げも衣はぽってり分厚く甘めのタレをたっぷり吸い込み、噛むとジュワリと油をにじませハラリとくずれる。
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強めに揚がった衣の香りはこうばしく、焦げた風味が返しのうま味や油のコクと混じってなんとも味わい深い。
エビはブリンはじけるようで甘くてタレに負けない香りもうまい。
なによりイカがおいしいのね。コリコリ潰れるゲソに、パリパリ壊れる耳の食感がとてもにぎやか。噛めば噛むほどうま味、風味が立ち上がる。熱のしっかり入った玉ねぎはとろけて甘く、ご飯はパラパラ。壊れたかき揚げとタレとあわさり天バラみたいになっていくのもオキニイリ。エビの尻尾もバリッと食べて丼空っぽ。
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タクワン一枚を残して丼のタレをまとわせカリッと食べる。今日も堪能いたします。
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