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南昌飯店の夜

「南昌飯店」で夜。

昔は本当によくきた店です。品揃えが豊富でなにを食べてもほどよくおいしく、なによりお店の人の気さくなサービスが心地よかった。
タナカくんとボクを兄弟と思い込んでたおかあさんが、「弟、今日もビール?」と聞いてくるから飲まなきゃいけなくなっちゃうんだよ…、ってうれしそうに飲んでいた。
豆苗の炒め物をたのんであげるとうれしそうな顔するおかあさんは最近とんと姿をみせない。やめちゃったのかなぁ…。
昼の営業もなくなって、気軽な夜の定食もメニューから消えちゃったから来づらいお店になっちゃった。

ホールの人が変わっただけじゃなくて、厨房の人も変わったのかなぁ。食べ慣れた料理をたのむとどこか違ってよそよそしさを感じたりもする。しょうがない。
豆苗の炒め物をたのむかわりに豆苗炒飯を選んでたのみ、お供に麻婆茄子を合わせてみます。

まずは麻婆茄子がやってくる。
ひき肉少なめ、茄子がどっさり。
ピーマンや玉ねぎも一緒に炒められていて、麻婆豆腐味の酢豚みたいな感じがするのがオモシロイ。
油を吸った茄子はぽってりとろけるおいしさ。
味噌の旨みに油の風味、軽い酸味がやはりどこか酢豚風。

ちょっと遅れて豆苗炒飯。
昔は豆苗炒めにご飯を入れたような緑な食べ物だった。
今日の豆苗は量が控えめ、豆苗を具にした炒飯に仕上がっていておそらくこれが正解なんだろうけどちょっとさみしい。しょうがない。

味はしっかりしています。塩味、スープの旨みに化学な風味がちょっと下世話でいい感じ。
刻んだネギに素揚げのエビが彩り、風味を添える。
なによりご飯のパラパラ具合が抜群で、しかも硬めの炊き加減。パラッとちらかり口の隅々転がりくすぐる感じがたのしく、豆苗がときおりシャキッと潰れてみずみずしくする。

麻婆茄子を炒飯に乗せて一緒に食べてみる。
茄子とご飯が混じり合い、ぽってりなめらか。肉感的な食べ心地。
これはこれでおいしいのだけどせっかくのパラパラ炒飯の食感が損なわれるように感じちゃう。

結局、炒飯はチャーハンとして麻婆茄子をおかずに食べることにする。
お店の奥では小さな宴会。
テーブルの上にズラッと料理が並んでみんなで分け合い食べる景色がどこか眩しくて、ちょっとさみしい夜のコト。


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