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談話室滝沢「改」椿屋珈琲店

椿屋珈琲店にやってきてみる。

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新宿駅の東口からほど近く。
かつて「談話室滝沢」のあった場所の喫茶店。
当時はしっとりとしたビルでした。
飲食店が入るビルとしてはそっけないほど質実剛健。まるでオフィスビルみたいな風貌だった。
そこにあった談話室。
コーヒーを飲みながら打ち合わせをゆっくりしてほしいからと、中堅企業の応接室をテーマにしたような店作り。
そんなムードも、そういうビルの中にあってこそ際立ったもの。
今では看板がギラギラしてます。
居酒屋があり、ビアホールがあり、中古のスマフォを買い取るお店の看板があり。夜には眩しいほどにギラギラ。
このビルに限らず、東京の街は看板だらけになりました。他の店より目立つようにと看板をたて、それに負けぬようにと次々看板に取り囲まれて、結局どれも目立たずただただ景色を見にくくするだけ。
なんだかなぁ…、とちょっとため息。

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緩やかに弧を描いて上へといざなう階段。
古い照明。
蛍光灯がチカチカ照らす壁面と、かつてのムードは今も健在。
それゆえお店に入るとかつてののんびりとした応接室的景色とまるで違った店内に、タイムマシンが今に到着。
ため息をつく。
広い店内に申し訳程度の禁煙席。
いつもそこだけにぎやかで、今日も続々、人が入って空気が薄まる。
そういえば、談話室滝沢もタバコ天国でした。
もしも彼らがまだあったなら、禁煙ムードにどう対応していたんだろうなぁ…、ってちと考える。

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役員秘書的装いの女性スタッフのサービスも、今ではカフェの女給さんのそれに変わって目をたのします。それにしても背筋のしゃんとしていることに、惚れ惚れします。うつくしい。

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プレミアムアイスコーヒーをまずたのむ。
グラスに大きなぶっかき氷。
落としたばかりのコーヒーをそこに注いで冷やして仕上げる。
真鍮製のポットから、琥珀色の液体が落ちて氷にあたった途端に、カチンと氷が音立てる。
酸味も苦味も強くって、最初は氷をなめるようにして味わって、氷が溶けてほどよく薄まるのを待つのがたのしい。

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サンドイッチのセットをたのんだ。
そしたらサラダもセットになってた。小さなボウルにシャキシャキレタス。紫キャベツにクリーミーなドレッシングがたっぷりかかる。シャキシャキ感もさることながらひんやり冷たく、ドレッシングの酸味も際立つ。体までもがシャキッとします。

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サンドイッチはミックスサンド。ハムとレタスとチーズのサンドイッチにたまごサラダのサンドイッチという組み合わせ。
焼かないパンは薄切りでふっくらしっとり。甘みは控えめ、挟んだ具材の味がストレートに伝わってくるのがサンドイッチのパンとしてはいい感じ。
それにしてもたまごサラダのおいしいこと。ぽってり、なめらか。白身も黄身も渾然一体となっていてマヨネーズの味は控えめ。塩と胡椒で味がしっかり整っていて、口の中をとろかしていく。しかもたっぷり。パンからはみ出しお皿に残ってしまうほど。

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ハムとチーズのサンドイッチでお皿についた玉子をぬぐって、きれいさっぱりお腹に収める。案外、好きです、オキニイリ。


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