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銀座、羽衣、河南涼麺

遅ればせながら「羽衣」の夏のご馳走、河南涼麺を食べにくる。

河南地方といえば洛陽を有する古代中国文化発祥の地とされる地域です。
その地方で食べられているかどうかはわからず、冷たい麺の文化は日本独自と言ってもいいほど。
だからこのお店の創作料理じゃないかと思う。

「羽衣オリジナル」とメニューにも書いてあって、いわゆる冷やし中華と違った冷たい中華麺なんだということをアピールしたいのでありましょう。
中には「ご飯つきで」と注文する人もいたりして、お客さまのメインは周囲のオフィスに務める腹ペコおじさん。

地下の店にもかかわらず空気おいしく天井もほどよく高くて空間のびやか。
大きな店ではあるけれどランチどきにはウェイティングができるほどの人気の店です。
そういえば冷やし中華って注文する人もいて、メニューをみてもそれはない。やってくるのは河南涼麺で、オリジナルとはいえ名前をおしつけぬところがやさしい。いい感じ。

冷たいスープに麺が沈んでサヤエンドウが彩り添える。
オレンジ混じりの乳白色のスープは辛くみえるけど、すっきりとした酸味と旨みがやさしいスープ。
具材が別盛りというのが独特。

茹でたグリーンピースに細切りにした薄焼き卵。
拍子木状に切ったチャーシュー、千切りきゅうりに春雨、エビの天ぷらと彩り豊かで仕事は丁寧。
どの具材も存在感があってしかも香りの強い仕上がりで、麺に乗せるとスープに味や香りが移る。そういえば排骨麺の排骨もここでは別添え。まずはスープをそのまま味わう。
どっしりとした旨みに明るい酸味が混じった冷すぎないスープがお腹の入り口をコツンとやさしくノックする。

まだ熱々のエビの天ぷらと春雨以外を麺の上に移して飾って食べる。

麺はチュルチュル、唇撫でるなめらかさ。麺線しっかりしていてコシが強くてザクザク歯切れる。スープをたっぷりたぐり寄せてくれるのもいい。

スープに浸かってホロホロになる焼豚や、ふっかり軽い食感の薄焼き卵。プチプチ爆ぜて口の中をみずみずしくするグリーンピースと具材たっぷりで食べ飽きないのがありがたい。
レンゲに春雨をのせてスープにくぐらせて、エビの天ぷらを乗せて食べるのがオキニイリ。

硬めに茹でた春雨のボソボソとした食感に、サクッと壊れる天ぷら衣。むっちりとしたエビが次々やってきて、口の中をにぎわしていくのがオモシロイ。
それにしてもスープがおいしく独特で、これをベースに冷たい担々麺を作ったらおいしいに違いないのに…、っていつも思うも果たせぬ夢です。それもまたよし…、オキニイリ。


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