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なだ万で朝食がはじまった。とにかくめでたい

緊急事態宣言と東京への移動宣言のせいでずっと休みをとっていた帝国ホテルの和食のなだ万。

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昼や夜の営業は7月末から再開したけど、朝はずっと休業してた。
ウェブにブックマークをかけて週に一度の割合で、営業再開はいつなんだろう…、と見続けていた。
それがやっと営業再開。
うれしくって、うれしくて、銀座近くで仕事の今日に早起きをしてやってくる。

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入り口入ったところに大きな立て看板。
ホテル内の各施設の営業時間が整理されてて、見るとたしかに朝食営業やっていました。ランデブーラウンジは10時開店。残念ながら食後のコーヒーはまだ無理のよう。地下に降り、お店に向かう通路に輝くシャンデリアも以前のままです。

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テーブル間引いての営業中。
ご飯かお粥が選べる定食というのは今まで通り。
お粥を選んで注文します。
黒いお膳の上にずらり、色とりどりで形も異なる器が並ぶ。こんなにキレイで繊細な食卓の景色は日本の誇り。
たとえ食欲なくても胃袋の入り口をこじ開けパカンと開かせるよう。
手前にお椀。
左奥には木蓋をのせた大きな器。

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その手前には蓋を頂いた陶器の鉢。茶碗は裏返しに置かれてて、それをいちいちとったり開けたり、ひっくりかえしたり。刻一刻と景色が変わって食べる準備ができていくのも、日本料理の粋なとこ。お椀に味噌汁、木蓋の下には白粥があり、陶器の蓋を開けると出汁の香りが漂ってきて中には季節の炊合せ。

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本来、和朝食といえば白ご飯派。
けれどここではずっとお粥を選んでたべてる。
ぽってり炊けた白粥に、普通、銀餡をかけて食べるとこ梅の餡が添えられている。
梅の酸味に朝のお腹が動きはじめる。
酸っぱいだけじゃなくて出汁の旨味もしっかりきいてて、酸味が消えると旨味が舌をよろこばす。
お粥の白を鮮やかな赤が汚すところも、日本の朝…、って感じでステキ。

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鰹節の出汁がしっかりした味噌汁はお麩と芽ネギが散らかって、あぁ、上等だ!と感心します。
こんにゃく、しいたけ、里芋、ニンジン、鶏の団子の炊合せ。どれもにしっかり味が染み込みみずみずしさを感じる煮物。それぞれの素材が一番おいしい硬さに仕上げられているのもステキなところ。
ごま豆腐、なめこに大根おろし。蓮のきんぴら、ひじきの煮つけとお粥のおかずも多彩に揃う。
甘いだし巻き卵はふっくら、しっとり。お酢で洗った大根おろしをたっぷりのせて口の中を潤わす。焼いた鮭はかまぼこを枕に梅干し、結び昆布の甘辛煮付けに素揚げのししとうを従えて、色合いもよく焼き加減もなかなかなもの。

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なにしろ皮までパリッと焼けて、自分の脂で揚がったように仕上がっている。かつて脱皮した蛇の皮みたいにみえて怖くて仕方がなかった鮭の皮も、こうしてしっかり焼けてくれていれば食べられるようになりました。今日のは平気と、梅餡落とした白粥にのっけてさらり。バリッと崩れて口に脂の旨味が広がる。

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考えてみれば変わったものは何もなく、けれど普通のものが普通以上においしいってなんてステキとしみじみ思う。
和紙の袋の中にはちりめん山椒。ちょっと甘めの仕上がりでお粥にぱらりと落としてさらり。山頂の粒が奥歯で潰れてピリッとしびれて目が覚める。

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いい一日になりそうな予感に満ちたステキな朝となる。


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