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甘味処でツナハンバーグ。元気な声にホッとする。

本郷三丁目から後楽園に向かう「菊坂通り」という通りがある。

なだらかに下がる坂道。ゆるくうねって10歩ごとに景色の変わる風情ある道。
坂道が終わる手前に「ゑちごや」という甘味屋さんがある。

水道橋にオフィスがあった頃、散歩をかねてたまに来ていたなつかしい店。

売店のショーケースの中には団子やお餅。
入り口脇のサンプルケースの中を覗けばラーメンや炒飯の蝋細工。メニューを見れば定食類も揃ってる。

「甘味中華」と呼べばいいかなぁ…、東京にはラーメンがおいしい甘味屋さんっていうのが結構あってここもそう。
餅入りラーメンっていうのがおいしくってネ…、よく食べた。
毎朝、店でついた餅。自家製の麺に醤油のスープ。胡椒がピリっときいててね。焼いた餅が香ばしくビヨーンと伸びて汁がからんでお腹も満ちた。

チャーシューメンの餅入りを食べてみようかと思ってきたけど「ツナハンバーグ」っていうのが気になり、試すことにした。
ご夫婦ふたりでやってらっしゃる。ご主人、腰がすっかり曲がって、けれど声が腹の底から出る元気。ゆっくりゆっくり、時間をかけて料理ができる。
歳をとってもできる仕事に恵まれるってステキなこと…、ってしみじみ思う。
甘味を買いにくる人も多くてその度、手がやすむ。のんびり待ちます。隣の人が食べてるラーメンやつゆだくカツ丼がおいしそうでネ…、お腹が鳴ります。

さてツナハンバーグ。

ベーコンでツナマヨを巻いてこんがり焼き上げたもの。
フィレミニョンのベーコン巻きのような姿にニッコリします。
レタスにトマトがあしらいに、ご飯に味噌汁、漬物、小鉢でひと揃え。ひとつひとつが丁寧に仕上がっているキレイな定食。

ツナの中には粗く刻んだ玉ねぎが混じってサクサク、歯触りが良い。
ツナマヨ自体はねっとりとろけカリカリに焼けたベーコンの食感と脂がほどよきアクセント。甘めの醤油ダレが下にひかれてて、これはおいしい。ご飯がすすむ。

ご飯の上に乗っけて胡椒をパラリとちらす。口に中でご飯と混じる感じは肉のハンバーグよりも肉感的で悪くない。お弁当のおかずにいいんじゃないかと思う。オモシロイ。

パリパリレタス、酸味がおいしいトマトも上等。漬物はきゅうりたくわん。きゅうりがカリカリみずみずしくて歯ざわりもよし。
小鉢の茄子の上には生姜。豆腐とわかめ、エノキの入った味噌汁は出汁がうまくてほっこりします。お腹を満たすに十分のほど良き量が粋でよい。自然と食後の甘味をねだる。

〆にアズキアイスクリーム。

さっぱりとした口溶けのよいアイスクリーム。甘いあずきがほどけるように崩れていくのがあいらしく、タナカくんはウエハースが好きだったよなぁ…、って思って食べた。
おごちそうさま、オキニイリ。


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