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ぬめらかな白木のカウンター。丁寧な昼

朝、病院で検査と問診。ちょっと時間がかかって腹ペコ。
時間は11時ちょっと前。これから歩けばちょうどランチどきに赤坂見附に着くじゃないかと思って向かう。
信濃町から赤坂見附は案外近い。
近い上に緑が多くて心地よく、右手にずっと赤坂御所を見ながら歩く時間はたのしい。
目指すお店は「一つ木竹林草」。

赤坂の一ツ木通りに面したビルの中にあるカウンター割烹で、お昼の定食が充実してる。

煮魚、焼き魚と何を食べてもおいしくて、特に今の季節の銀だらの西京焼きは格別の味。歩いて、歩いて、到着したのがオープン直後。
古いビルのエレベーターはゆっくりブーンと上にあがって、降りるとお店の前には盛り塩。
すでに先客4組あって、カウンターの角の一席もらって座る。目の前は厨房。親方と若い衆で料理が仕上がる様子をみながら料理を待ちます。

注文したのは目当ての銀だら西京漬け焼き。料理が時間差で次々運ばれお膳の上がにぎわっていく。
まずは小鉢が7つ勢揃い。

カンパチの刺身に貝紐とわかめの酢の物。ポテトサラダに厚焼き玉子、小松菜のおひたし、煮付けた切り干し大根、白菜と切り昆布の浅漬け。どれもかけるべき手を惜しまず仕上げたよき料理。

続いてメインの西京漬け焼き。そしてゆかりをあしらったご飯に汁でひと揃え。目にもうるわしきオゴチソウ。

それにしても白木のカウンターが見事にきれいに磨き上げられ、撫でるとやわらか。ちょっと毛羽立った手触りさえするなめらかさ。こういうお店の料理は確実。さて、食べる。

銀だら西京漬け焼きのうつくしきこと。

西京味噌と銀だらの脂が混じり合ってこんがり焦げる。
香りもおいしく、食欲湧かす。
箸をあてるとブルンとはじける。

そしてボロリと肉がこわれて、白肌さらす。
湯気がふわりと立ち上がります。
口に含めば西京味噌の香りと豊かな味わい、風味。脂がジュワリとにじみだしおいしいジュースが口を濡らしてきえていく。
腹の部分には小骨がたっぷり残ってて、それを一本一本丁寧ん抜く。抜くのに使った指をなめるとすでにおいしく、キレイになった肉を食べれば強くて旨い脂の味にウットリとなる。ご飯のおかずにこれほどステキな焼いた魚はそうそうあるまい…、と思いながらパクリパクリと味わい、食べる。

刺身も旨い。脂ののったカンパチを軽く漬けにしている。水分がほどよく抜けてみっちりとした噛み心地。やはり脂が旨くてウットリ。冬の魚はふくよかで良い。

厚焼き玉子がまた旨い。関西のだし巻き卵と違って甘い。甘くて焦げた香りがおいしく、空気を含んで仕上がってるからふっかりとした軽い食感。噛むと甘くておいしい出汁がジュワリとしみ出してくる。
ポテトサラダのマヨネーズ味が口直しにもまたよくて、たのしくおいしくすべての料理がお腹におさまる。

今日の水菓子は柿がひと口。ほどよく熟れて歯ごたえカリッ、噛めばとろけるオゴチソウ。豊かでおいしい昼餉となった。オキニイリ。


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