見出し画像

父の買い物−1

父がボクをゲイと見込んでたのんだコト。
「結婚記念日に母に何をプレゼントすればいいか
わからないから買い物につきあってくれ」
というものでした。
そういうお願いごとは大得意にて大歓迎。
3話完結でその顛末をまとめてみました。
1話だけ無料公開。2話目からはメンバー限定といたします。


父に聞かれた。
結婚記念日にどんなプレゼントをすればいいんだろう?

結婚記念日における父の母へのプレゼントは、まさに失敗の連続で例えば昨年。
有名な宝飾品ブランドのジュエリーウォッチを贈って母は大いに失望。

ワタクシらしくはない時計。
あなたらしくはない贈り物。
一体、どこのどなたに相談なさって、こんな贅沢なモノをお買いになったの。
まさか誰か知らないかわいい人の左手首で、これとよく似た時計がキラキラしているなんてコトはないとは思うけど…。
そもそもワタクシ。
この腕時計にあわせる服を持ってない。
こういう時計を贈るときには、服に靴、鞄も一緒にくださるものよ。
気持ちはうれしくちょうだいしましょう。
孫がこれに似合う大人の女性になるまで金庫にいれておきます。
よござんしょ?
と、そのプレゼントは即座に貸し金庫の中に封印されてしまった。

ひとりよがりで選んだモノは「ただの買い物」。
流行っているから、有名だからと選んだモノは「貢物」って言われたってしょうがない。
相手のコトをあたたかい目で観察するコトから、プレゼントってはじまるんだと思うんだよね。
やさしく見てれば、何が欲しいかわかってくるモノ。

それにネ…、二人で一緒に使えるモノがいいんじゃないかな。
だって結婚記念日は、二人の記念日なんだから。
高くなくてもいい。
いつも一緒にいたいんだ…、って気持ちが伝わる二人で一緒に使えるもの。
そうだ、香りがいいじゃないかなぁ。
ふたりでたのしむコトができる、しかもママも好きな香り。
また若い彼女のアイディアだろうって叱られたら、ボクの入れ知恵だって言えばいいんだ。
この一週間。
おかぁさんのコトを、よぉく観察するんだよ。
そして一番よく使ってそうな香水の瓶を持ってきて。
それをヒントにお店の人に、ふたりで使える何かを選んでもらおうよ。

夫婦の間で、無関心は裏切り以上の罪だから。
夫の妻に対するなにげない無関心の積み重ねが、熟年離婚のキッカケになる。
男女関係において、無関心は不実よりも罪深い。
だからね、おかぁさんのコトを一生懸命、見てあげて!

そして二人は伊勢丹にくる。

ここから先は

0字

ベーシックプラン

¥500 / 月
このメンバーシップの詳細

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?