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肉つけそばって一体ナニモノ…?

新宿三丁目の飲み屋街に「SOBA−JU」ってお店ができた。

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昼は肉そば。夜はバーとして営業をするという変わり種。
あぁ、こんなところにも肉そば屋ができた…、という感慨と、こんなスタイルの肉そば屋までができるんだ…、という驚きと二重の意味でビックリした店。

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肉そば。
2002年に東京港区でスタートした「港や」なる店が創作し、一世風靡した料理です。
その本家、港やは先日閉店。

場所をかえてほそぼそと伝統は続いているけれど、ブームのきっかけを作った人にとってはもう気持ちがひと段落してしまった感ある料理。
けれど、ブームはできた場所から近いところにまず広がって、徐々に遠くに移ろっていく。
その「遠近」は「立地」という物理的なる遠近もあり、「業態」というコンセプト上の遠近もある。

港区から新宿区は物理的には近いけれど、バーで肉そばというコンセプト的にはいささか遠くて、ここまで来たらそろそろ料理としては成熟を迎える時期が近づいた…、って思ったりする。

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どこがやっているんだろう…、と思って近所をぶらぶらしてたら「マルゴ」がはじめた店でした。
新宿を拠点にしたワインバーのチェーン店。
店の中を見るとバックバーを備えたカウンターバーのしつらえで、ハイスツールに座って背中を丸め、おにぃさんたちがズルズル蕎麦をすすってる後ろ姿はかなりの場末感を漂わせてます。

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ちなみにお店の名前は「ソバージュ」と読む。
かっこいいのか悪いんだか。マルゴってチェーン店がそもそもどこか「未だバブル」な居心地悪さを売り物にしているところで、一貫性をもったネーミング、コンセプトって思いもしました。ちと笑う。

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店の中に入るとまず券売機。券売機が置かれた場所は壁のちょっと奥まった凹みで、昼だけ使い夜には前に覆いを垂らし見えないようにする工夫。1000円札を飲み込ませ900円の牛肉そばのボタンを押すとおつりは100円。…、のはずなんだけど100円で買えるとろろのボタンが光ってねだる。お店の企み通りにとろろも買ってちょうど1000円。

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お客様はというとスーツ姿のおにぃさんたちに混じってガテン系の体の大きな人たちもいて、何しろ麺は300g。カウンターの上には生卵が山積みされてて一個は無料。大食いさんの気持ちをくすぐる。

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太い麺だからでしょう。
提供時間はちょっとゆっくり。
大きな鉢にどっさり蕎麦。
蕎麦を覆い尽くすほどにたっぷりの肉、そしてネギ、海苔。
牛肉は大衆的な焼肉屋さんが好んで使う部位でしょうか…、脂がのって歯ごたえがある。

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しかもそれがかなり強めの醤油味。それをつけるタレもかなり辛くて生卵を落とさないと味が強くて整わない。100円追加してかったとろろの出番とのっけて食べるもやっぱり辛い。

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タレに垂らしたごま油も牛肉の脂もきつくてこれってやっぱり若い人たちの食べ物なんだなぁ…、って思う。最後にそば湯でタレを割って飲むと出汁の旨味はほとんどせず、舌が感じるのはやっぱり醤油。ちとビックリ。

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それにしても肉そばという料理。誰に必要とされている料理なんだろう…?
おそらくそれはつけ麺だとかラーメンだとかでお腹いっぱいになりたい人たちにとっての健康食…、なんじゃないかと思ったりする。肉そばの店の蕎麦はどこもが大盛りで、太い麺に硬めの仕上がりを売り物にする。歯ごたえも歯ざわりも力強くて、お腹に溜まる。とは言え蕎麦でラーメンで腹いっぱいになるよりどこか健康的。
それまで蕎麦で値段を取ろうと思えば天ぷらを豪華につけるのがほとんどで、でも天ぷらは特別な技術と設備が必要になる。炊いた肉なら仕込んでおける。いろんな意味でいいとこ取りの料理なんだろうと思ったりする。勉強です。


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