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銀座ウエスト。トーストセットとトルコ行進曲

銀座ウエストで朝をはじめるシアワセな今日。

ホール全体を壁にあいた窓のような設えから見渡すことができる席に座ってのんびりします。
モケットの張地のソファにレースの背当て。
アイロンのかかったテーブルクロスに磨き上げられた銀のトレイの上に砂糖のポットとミルクのピッチャー。
いつものごとくキラキラとして、あぁ、今日もここにいるんだとホッとしながら背筋を伸ばす。
するとグレングールドが演奏するトルコ行進曲が流れてきました。
原曲の軽やかなテンポではなく、音をひとつひとつ確かめるようにゆっくり力強く弾いていく。厳しい道を勇気と気力を振り絞って一歩一歩踏みしめながら戦地に向かっていく兵隊さんをイメージさせる、どこか鬼気迫る演奏。

実はタナカくんが逝ってしまって9ヶ月たった2021年の1月。
ここに来たとき流れてきた。
あえぐようなメロディーを聞いていたら、足を引きずりながら歩いていたタナカくんを思い出して泣いちゃったのネ。
今日もちょっとウルッときました。もう4年。

トーストセットを選んでたのむ。

「ご自由におとりください」とジャムやマーマレード、はちみつが整然と並んだバスケットがやってくる。
一番人気ははちみつで、二番人気はマーマレード。

不思議なことにボクの好みがこのふたつ。
ベビーリーフにトマトのサラダ。

殻を剥いてエッグスタンドに入れたゆで卵がまずやってくる。
甘いドレッシングにしっかり冷えて状態のよい野菜たち。サラダを全部食べ終えた、まさにそのタイミングでトースト到着。

今日はやさしい焼き加減。
良く焼いて…、ってたのまなかったからしょうがないとは思うもバターが塗り込められた表面はつややかにして小麦の香りも力強い。

ヒックリ返すと反対側はよく焼けていて、ニッコリしながら一口大にちぎってマーマレードをたっぷりのせる。
酸味と苦味が焦げた小麦を香ばしくしてバターの風味をひきしめる。

そしてハチミツ。
器を傾けるとゆったり垂れてバタートーストと出会ってからむ。バターの塩気とコクにはちみつの甘味や軽い渋みが混じってウットリします。

トーストのバターを塗った面と焦げた裏側の食感のコントラストもたのしくて全部食べてもお腹を重たくしない量もありがたい。
コーヒーを2回おかわり。席を立つ。


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