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居酒屋というフォーマットの賞味期限を考える。

新宿の大ガード近くに居酒屋の天狗があった。
最近、そこが改装し「てんぐ大ホール」っていう居酒屋天狗の新業態になって再出発。

天狗時代に何度か来た店。どんなふうに変わったのか、みてみようかとやってくる。
店の軒下に「大衆食堂」の看板がある。食事ができて気軽に飲める食堂飲みがコンセプト…、かと思いきや食べログの公式ページには「大衆スタンドてんぐ大ホール」と表記されてる。

違いは大きい。大衆スタンドだと、飲めて気軽に食事もできる。主客逆転で、果たしてどちらが正解なのか。
細かなことだけどこういう部分が統一されないって、イメージ戦略を失敗してるって思えてしまう。
とはいえ、テング酒場のように、居酒屋天狗の安売りバージョンって感じではないワクワク感があっていい。

厨房の前をすっかり取り払いオープンキッチンにした上で、客席部分の壁や仕切りも取り除き大きなひとつの空間になってた。

「TENG GRAND FOOD HALL」って言うのが英語の店名。

最近流行りのフードホールスタイルで仕切り直しってことなんでしょう。お店の入り口脇に居酒屋メニューと食堂メニューが貼り出されていてどちらも、安いっ!

しかも和食、洋食、中華料理となんでもありで若い人がたのしいように…、って感じの献立。
こんなに安くしなくていいのになぁ。
かつて天狗といえば刺し身がおいしい正統派サラリーマン居酒屋で決して安い店じゃなかった。それでもいつも満席で、ランチ営業もやらないし夜は10時で閉店してた。当時の天狗のライバルは生業小規模の居酒屋や割烹料理屋で、そういう店より安く売ればよかったのに今のライバルはチェーンの居酒屋。すごく安くしないと戦えなくなっちゃったんだ…、ってしみじみ思う。もったいない。

ランチメニューもすべて1000円以下。
生アジフライが売りのようで、一番人気は生あじフライと唐揚げの定食という。
ただ気になったのはサイコロステーキ。
天狗の夜の人気定番料理のひとつで、それに鶏の唐揚げがついた定食をたのむことにした。

ご飯に汁に漬物がつき890円。
これがランチで一番高い値段です。
一口大に切り分けた牛肉が、ジュージュー鉄板の上で焼かれてでてくる様子はやっぱりおいしげ。

きっぱりとした塩味に大根おろしにポン酢がかかってご飯がすすむよき一品。いつもは酒の肴にしてた料理をおかずにご飯を食べる。なるほどこれが大衆食堂。

追加用の小皿料理が9種類。165円の卵焼き‥、っていうのがあって試し

てみました。
さて、どんな卵焼きがくるんだろう。玉子一個でいいから焼き立てだったらいいのになぁ…、とワクワクしながら待ったんだけどやってきたのはまとめて焼いた焼きおき厚焼き玉子。しかも冷たく冷蔵庫から出したばかりっていう感じ。165円だからしょうがないかと思うもやっぱりちと残念。

片栗粉をはたいて揚げた竜田揚げ風の唐揚げは、ニンニクがたっぷりはいったタレにつけられなかなか旨い。酎ハイやハイボールにピッタリ合うようにできてるんだろうなと思う。汁はアオサの味噌汁でどれも味はしっかりしてる。だからでしょうね…、おじさんたちが次々お店にやってくる。狙いの若い人たちがほとんどいない、つまりかつての天狗と同じ客層。居酒屋というフォーマット自体が時代贈りになりつつあるのか…、って思ったりした。お勉強。


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