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○○刈りの王様、さくらんぼ

フルーツ狩り。
いちご狩りとかぶどう狩り。
もも狩りだとかブルーベリー狩りにりんご狩りと、自分で収穫しながら食べるというスタイルのたのしみの種類豊富で多彩なコト。
自分の好きなフルーツならば、心ゆくまで食べられる。しかも当然、鮮度抜群というのがうれしく、日帰りバス旅行のメインコンテンツになるほど人気があるようでもある。

ただ、数多くのフルーツ狩りの中にあって、その王様は?と聞かれればボクは文句なく「さくらんぼ狩り」だろうと思う。
二番手はいちご狩りなんじゃないかと思うも、いちご狩りにいくと必ず練乳を手渡され、気づくといちごじゃなくて練乳刈りみたいになっちゃう。

さくらんぼがフルーツ狩りに適している理由はいくつかあるけれど、なにより一粒の個体が小さいというのがいい。

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フルーツ狩りの醍醐味というのは、「たくさん食べられる」ということ以上に「おいしい一個(あるいは一粒)を探して見つける」という部分にある。
もっと甘いものがあるに違いない。
もっと食感がすぐれた一粒があるに違いない。
この広い農園の中に、必ず私にとっての運命の一個があるに違いなく、それを探してあっちを食べたり、こっちを食べたりするからたのしい。

一粒が小さければ小さいほど、その探索は入念で徹底的なものになる。

運命のひと玉に出会うため、何個リンゴを食べなきゃいけないんだろう…、とか、一粒を探したいのに一房を食べなきゃいけないぶどうなんかは狩っててそれほどたのしくはない。
スイカ刈りなんてオモシロイかもしれないけれど、ひと玉かったらもう腹いっぱいで次のひと玉にいけないものネ。

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最近のさくらんぼ刈りは、そういう人の心理を知ってかなり進化をしはじめている。
ひとつハウスの中にいろんなさくらんぼの木が植えて、さくらんぼの種類違いを一度に食べ比べできる。
低い枝にも高い枝にも実はたわわ。
黄色いくせに香り豊かで甘いさくらんぼや、カチッと硬めでなのにみずみずしくて酸味と甘味のバランスのいいさくらんぼやらと食感多彩で、味わい多様。
中には桃じゃないかしら…、って香りや歯ざわりのものまであって、飽きることがない。

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今日のおすすめは佐藤錦なんて告知板。
それぞれの株に番号ついてて、その番号を探して食べる。
たしかに甘くて、最後に酸味がキリッと味を引きしめる。さくらんぼらしいさくらんぼ。
手に届く場所にある実はやわらかでひたすら甘い。
ところがちょっと爪先立って手を伸ばしたところにある実は若干大きく、甘さが上品。酸味はほのかでさくらんぼを加工したのかと思うほど。
脚立をつかっててっぺん近くの実をとると、大きく、つやつや、色も濃い。カプッと歯切れてじゅわっと口がジュースで満ちる。

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食べては種をプップと地面に吹き出し捨てる。そうしてください…、それが来年のいい肥やしになりますからって言われてプップ。

それにしてもこの農園。到着したらまず「今日はご予約ありがとうございました」って挨拶からはじまって、さくらんぼの種類の説明やとり方なんかを明るく丁寧に説明し、しかも「30分たのしんでくださいね」って言ってくれるところに感心。農業じゃなくてサービス業って思いもしました。オモシロイ。

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