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夜の新記、ひさしぶり

出張先から四谷三丁目の駅につく。
家に帰っても冷蔵庫の中にはこれといって食材もなく、「新記」で食事をすることにした。

空は暗くてお店は静か。カウンター席に座って夜の町をながめる。

やっぱりひとりの夜はさみしい。まもなくもう3年になるんだなぁ…、ってちょっとしんみり。
このお店にはほんとうによく来た。

この町には他にも何軒かよく来たお店があるけれど、今日は飲みたい…、ってときに選んだお店のひとつがここだった。お酒は何でも飲んだ人だったけど、一番体に合うのは紹興酒。だから紹興酒がおいしく飲めるこの店が好きなんだよね…、ってよく言っていた。
オンザロックでクイクイ飲んで、オトナの麦茶って笑ってた。

30種類ほどの小皿料理が揃ってて、そこから3種、好きなものを選んで1150円っていうメニューがある。それが紹興酒のお供になった。

いつも絶対たのんだのは揚げワンタン。

薄い生地が花咲かすように揚げられて中にはたっぷり、エビのすり身が入ってる。
マヨネーズをたっぷりつけてパクリとひと口。
バリバリ生地が壊れてちらかり、エビのすり身がむちゅんと潰れる。笑っちゃうほどおいしくて好き。

それから排骨。

骨付きの豚バラ肉をトーチと一緒に蒸し上げたもの。唇ひんやりさせる脂が甘くてネ…、クチャっと潰れる食感も肉感的なオゴチソウ。これに大根餅っていうのがいつもの組み合わせなんだけど、今日はひとりで野菜を食べなきゃいけない。

レタスの湯引きを代わりにたのむ。

レタスをちぎって茹でたところに油を少々。オイスターソースをかけて仕上げる簡単料理。
でもシャキシャキとした歯ざわりやオイスターソースのうま味。レタスの渋みに香りもおいしい。家でもたまに作って食べるオキニイリ。
ラー油をちょっと垂らして混ぜて、シャキシャキ食べてお腹潤す。
野菜を食べてるって感じがしみじみ気持ちいい。

メインは海鮮粥を選んでみた。

タナカくんが体の具合を悪くしたとき、ここのお粥を重宝してた。
程よくサラサラ。
けれどお米の粒は角が取れててぽってりやわらか。
お米のスープって感じがやさしい。具材もたっぷり、エビに小さな甲いかにネギ。揚げて砕いたワンタンの皮が食感、風味を整える。揚げワンタンをちょっと浸して食べると生地がしんなりなって、スープに油の風味も混じる。

スープの味はどっしりしてます。
鶏ガラスープに具材の海鮮類の味が混じってなかなかおいしい。レンゲですくって排骨をのせ一緒に食べるとクチャっと潰れる豚バラ肉の脂がお粥をおいしくさせる。お腹もしっかりあったまる。

今日はたくさん食べたから残すかなぁ…、と思ったけれど全部キレイに食べられた。

お粥の量が軽くてスープのような食感だったということもあったのだろうけど、食欲が不思議なほどに持続した。隣で一緒に食べてくれていたからかなぁって思ってぼんやりしていたら、「どうぞ」と杏仁豆腐がやってきた。

甘みやさしくスベスベとした豆腐といいうより杏仁ゼリー。
食感軽くてスルスルお腹に収まっていく。
おいしかったネ…、って空に向かっていいながら家にのんびり帰ります。


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