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イタリアレストランが百貨店ブランドになれたワケ…、アジオ

夜…、伊勢丹のアジオにひさしぶりに来る。

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この食堂街にこの店ができたとき、業界の人たちはびっくりしました。
百貨店というのは保守的な場所です。そこに必要とされるレストランも保守的なもの。
日本料理であれば寿司や天ぷら。鰻にしゃぶしゃぶ、すき焼き、そして蕎麦。会席料理のお店はあってもとんかつの店はギリギリのライン。
中国料理のお店はあってもタイ料理やベトナム料理のお店はない。
西洋料理の店ならば洋食店が一軒あればそれで十分。もしもう一軒というときにはフランス料理の店が選ばれるというのが百貨店という場所の常識。
にもかかかわらずイタリア料理のお店が出来た。

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料理の世界ではフランス料理よりもイタリア料理は格下と言われていて、それは百貨店の格そのものも貶めてしまう可能性があるから、当時の百貨店はイタリア料理店の誘致にビクビクしていた。それが開店と同時にこのフロアーでも一番人気。いまだに行列が出来て当然なお店になった。

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理由はおそらくこの店が「イタリア的なグリルレストラン」だったからなんだろうとボクは思う。
入り口に入ったところにピザ窯が置かれているというのがアイキャッチとしてはいい仕掛けではあった。けれどそれに続いて炭をおこしたグリル場があって、そこで肉が焼かれている。つまり「スパゲティーとピザがおいしいステーキレストラン」という位置づけ。イタリアンレストランは格下だけれど、ステーキレストランはフランス料理のお店と別枠。

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イタリア料理の前菜も数多く揃うけれども、一番のおしはシーザーサラダ。かつては目の前でチーズを削ってサラダの上に盛り付けてくれたけれど、さすがに今は厨房の中で出来上がってくる。

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でもチーズたっぷり。
食べていると途中からチーズとロメインレタスの量が逆転してチーズを食べてるようになるけどそれが醍醐味。

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パスタの中でも一番好きで、一番ここらしいと感じるのが唐辛子とニンニクのタリオリーニ。
生のパスタを赤唐辛子とニンニクと塩、オリーブオイルで調理したもの。
それ以外に具はなく、蕎麦でいえばかけそばです。
十分辛く、十分香りが豊かなんだけどそれだけでお腹を満たそうとすると物足りない。

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けれどこのあとにステーキがやってくるんだと思うとその物足りなさがおいしいのです。なにより麺の歯ごたえ、歯ざわりが力強くて口の中がにぎやかになるうえ、食欲までもが湧いてくる。

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ステーキは和牛がメイン。サーロインの200gを焼いてもらってメインとしました。ほどよき厚みをもった牛肉を炭の上でこんがりと焼く。焼き方はミディアム。こういう肉はちょっと良く焼きの方が脂がおいしく味わえる。

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塩がしっかりほどこされていて、それで十分味が整いポアブルマスタードをアクセントにしてひたすら味わう。クチャっと潰れて肉汁がジュワッ。体と気持ちに栄養が滲んで染み込み、潤すおいしさ。

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サイドにあるのはフライドポテトとほうれん草のソテ、ニンジンのグラッセ。昔からの変わらぬ組み合わせ。ホッとする。
日本人にとってのイタリア料理といえばパスタとピザに留めをさしてそれ以外の料理をどんなに売ろうとしても面倒くさくなるばかり。だからわかりやすくガツンとステーキ。それでいいんだと思ったりする。おゴチソウ。


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