絶妙に焦げたトーストが好き…。
銀座で朝。喫茶店のトリコロールを選ぶ。
レンガ造りのクラシックな一戸建て。ビルの間に収まるように建てられていて、そこだけちょっとヨーロッパ的。
朝からいつもにぎやかで、お店に入ると満席だった。
5分ほど待ち席があき、お腹も空いた。モーニングセットをたのんでお供の飲み物をコーヒーにする。
女性スタッフが凛々しく仕事をする店です。
カウンターの中の小さなキッチンでコーヒーが落とされ、壁にくり抜かれた小さな窓の向こうにメイン厨房。料理が窓から差し出され、お客様にうやうやしくも提供される。
いい空間です。
おなじみさんが多い店でもあって、お店の人と朝のおしゃべりをたのしんでいる。ボクの隣には朝から愛を語り合う、大人カップル。銀座の朝は濃厚味(笑)。じっくり時間をかけて料理は到着です。
まずコーヒー。ハンドドリップで落としたコーヒーが銀のポットに入ってくる。テーブルに置かれたカップに注がれて、湯気と一緒にコーヒーのスッキリとした香りが漂う。
昔、コーヒーの味はあんまり好きじゃなかった。けれど香りは好きだった。喫茶店が好きだったのはこのコーヒーの香り故。香りをたのしみながらバナナジュースを飲んだりしてた。今では香りも味も好きな大人になりました。
ここのコーヒーはちょっと酸味に傾いた苦味が深い味わいで、ミルクを注いで味をやさしく整える。
厚切りトーストにサラダ、バターにジャムで朝のメインのひと揃え。コーヒーカップのソーサーも、メインのお皿も箔押しの上等な陶器が使われていて目にも贅沢。おゴチソウ。
トーストはよく焼きで…、ってお願いしました。
どのくらいよく焼きましょうと聞かれて、焦がして下さいって言ってみた。
おいしく焦がしますねって答えにニッコリ。
ワクワクしながら待つ。
「この焼き方でいかがでしょうか?」と運ばれたトーストを見てウットリしました。
見事に焦げて焼けたトースト。
うれしいコトに頑丈な耳までキレイに焦げて焼けてて、香りもおいしい。
生地そのものはちょっと粗目の仕上がりで、焼かれたことで水分がぬけ細かな穴がそこここに。分厚いけれど厚さに比べて軽く感じる。好きな加減。
サラダはドレッシングにかけずにもらった。レタスにルッコラ、きゅうりにパプリカ。香りがおいしい野菜を指でつまみ上げ、みずみずしさを味わいたのしむ。
焦がして仕上げたトーストは香ばしくって小麦の旨味がギュギュッと凝縮。前歯をカサカサくすぐるような歯ざわりが心地よくって食欲が湧く。なにもつけずともおいしくて、口の中がにぎやかになる食感たのしい。
一口分をちぎってコーヒーに浸してパクリ。苦いコーヒーがパンの甘みを引き立てて、口の中をみずみずしくするおゴチソウ。
バターをのっけてジャムをたっぷり。いちごの形が残ったままの甘くて酸味のしっかりしたジャム。気持ちがホッとやさしくなっていくようで朝の頭が鮮やかになる。サラダもジャムもトーストをキレイに食べて、バターだけは残して終える。朝のコト。
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