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よいおすすめメニューって…。

先日、宮城県の大河原という町の小さな割烹居酒屋にいった。

居酒屋と呼び切るには落ち着きがあり、料理もしっかりしていてどこか料理屋的。豊富な酒の品揃えが、美味しく食べてたのしく飲んでって…、ってメッセージを感じるからみんな居酒屋使いをするという感じ。
座るとまずお通しがくる。季節の料理が3点、小鉢に入ってやってくるのがありがたく、魚のあらの醤油煮やタコの頭の煮物、山菜煮付けとどれも呑兵衛心をくすぐる料理。
まずビールと、乾杯するも料理がねだるお酒はやはり日本酒で、ビールをグビグビ飲み干したあと冷酒に変える。「綿屋」という宮城県の蔵が造る地酒を一合。スッキリとした辛口で、スイスイ飲めてお腹をゆっくりあっためる。差しつ差されつで料理をつまむ。

壁におすすめメニューを書いたホワイトボードが貼られてる。
これがとてもよく考えられていて感心しました。

刺身が売り物の店なのでしょう。
他のメニューは横書きなのに、刺身のネタだけが縦書き。
しかも値段が書かれていない。
お店の人に聞いて下さい…、場合によってはお客様の予算に合わせて盛り合わせますよと、この書き方だけで伝えきる。
魚の種類は全部で7つ。
他の料理は15種類ほどと、たのしく迷えて、迷いすぎない程度の種類が粋で良い。

おすすめメニューというのは大抵何種類かの商品で構成される。
その種類が少なすぎると、「これを食べろ」という命令形に感じ取られてやさしさに欠ける。
逆に多すぎると何をすすめているのかにわかにわからず不親切。
ほどよき種類で構成されているというのが大切なとこ。

同時におすすめしたい理由がはっきり伝わるかどうかもよいおすすめメニューなのかどうかを決める要素。

飲食店がお客様に特定のメニューをおすすめしたい理由にはいくつかある。
まず、今日の仕入れの中でとびきりいいもの。それを食べてもらえればお客様がよろこぶもの。
つまり、お客様が得するメニューがおすすめメニューになっているというもの。
その一方で、それを買ってもらえればお店が得する料理をすすめることもある。
仕入れが安かった。
作るのが簡単。
あるいは仕込んでおけばすぐに提供できるものと、それらがおすすめメニューの中にでしゃばりすぎると儲け上手だけれど親切さにかける印象の店になってしまう。

なぜこれらの料理をおすすめメニューとして選んだのか?
メニュー全体を貫くゆるやかなテーマを感じることができると、お客様は余計な詮索をしないで、おすすめメニューを試してみようかと思えるようになるものなのです。
ここのおすすめメニューはどれもが地元の季節の素材を使った料理。
それも日本酒がおいしく飲めるに違いない調理法で整えられたモノばかりという、まとまりがよく魅力的なモノ。
結局この日は通常メニューを見ることなく、おすすめメニューだけで満足できました。

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