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夏のゴチソウ、雅味近どう
岐阜の夜に「雅味近どう」。
先月は夏のはじまりを堪能し、今日は夏の盛りをたのしむ。
毎月のように伺って、味わう度に季節を感じる。日本の料理は季節の料理ってしみじみ思う。
まず前菜の盛り合わせ。
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陶器の小鉢。
切子の鉢に料理が並んだお皿は茄子の形に模様。夏においしくなる野菜。器がすでに夏の気配でニッコリします。
卵豆腐の上に枝豆、青菜のおひたし、すっぽんのスープで炊いたおからに甘めのだし巻き卵。
鯛の押し寿司の酸味とねっとりとした食感が口とお腹の準備をしていく。
続いて汁椀。
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蓋に細かな水滴びっしり。蓋をしてから誰も蓋を開けていないという印。鯛のすり身にしいたけ、ニンジン、大根の芽としつらえミニマル。むっちりとしたすり身も汁もおいしくて、本格的にお腹が動きはじめるゴチソウ。
刺し身が続く。
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縦に長細い両端が反った短冊状の皿。
これで刺し身が供されるのは二回目かなぁ…、ドラマティックな景色がステキ。
ネットリとしたイカにムチッと歯ごたえのよい鯛の切り身。大葉の下にはマグロが隠れてる。イカは甘くて鯛は旨い。脂ののったマグロはとろりと口溶けがよく、軽い酸味を残して消える。
刺し身を食べて終えると「壺中日月長」の文字が出てくる。
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こちゅうじつげつながし。壺の中の別天地にて、時間に追われること無く悠々自適の人生を送るさまを描いた一文。なかなかそうはなれぬ未熟にいささか顔が赤らんだ。
カニのほぐし身を芯にした里芋饅頭に生姜の餡。生姜の香りと辛みが夏のお腹をシャキッと刺激する。
冷やし飴みたいな味がするね…、って言ったらそれはなんですか?って。
そうか冷やし飴って西日本の飲み物なんだって思ってニッコリ。
日本は広い。
日本の食はまだまだ深くて多様でステキ。
鮎の炭焼き。
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ひとつはそのまま、もう一尾には田楽味噌が塗られてた。
これも地方の料理です。
田楽味噌の香ばしさが鮎の苦味を引き立てて、これもなかなか乙な味。
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ガラスの器に冷やし炊合せ。
煮てぽってりとなった茄子を土台に上に蒸し鮑、ポン酢のジュレを飾ったところにエビを飾った色鮮やかでうつくしき一品。エビはムチュンと歯切れて甘く、ふかふかアワビに茄子はポッテリ。たまらぬおいしさ。
今日の〆は枝豆ご飯。大きな土鍋で炊き上げたもの。
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土鍋の蓋をあけると枝豆独特の青い匂いが蒸気と一緒に湧き上がり鼻をくすぐる。
小さな茶碗に上品に。
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おかわりをしてくださいね…、ってメッセージ。
そしておいしい。ひと口食べた瞬間に、あぁ、おかわりだなぁって思うおいしさ。枝豆はコツコツ奥歯を叩く硬さで、ご飯はすべすべ、ご飯の粒を感じるおいしさ。ほのかな塩気がご飯や枝豆の甘さを引き立て、ときおりまじるおこげもおいしい。
赤だしにべったら漬にキュウリの浅漬、昆布の佃煮をお供にパクパク。
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桃のゼリー寄せ、羽二重餅でお腹に蓋してゴキゲンになる。夜になっても蒸し暑い。
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