見出し画像

銀座のお昼。カウンターでスイカが笑う

昼に有楽町の「いちにぃさん」。

黒豚のしゃぶしゃぶで有名な店。昼にはせいろで蒸し上げた「蒸ししゃぶ」が人気でいつもにぎやか、お店の外には小さい行列。
客席に案内してくれる店長さんが元気でにこやか。
鹿児島のお国言葉丸出しで接客するのが小さな旅行をしたような気持ちになれて、ボクは好き。

座り心地のよいカウンター席。

一人分がゆったり取られて奥行きもあり、椅子がほどよい高さで疲れず居心地が良い。
カウンターの奥には厨房。角にスイカが置かれてて、季節を感じる。
大きな鍋がおかれてて、豚の角煮や豆腐がクツクツ炊かれてていい匂いが漂ってくる。腹が鳴る。
目当ては「黒豚しゃぶそばセット」1100円。

ここの豚しゃぶは最後にそばを入れて〆るのが特徴で、そのそばを使ったしゃぶしゃぶ仕立ての熱々のそばに蒸し寿司という、見ているだけでお腹や体があったまるような組み合わせ。

そばはたっぷり。
大きな塗りの器に入って、手にずっしりと重たくそしてあたたかい。
出汁にくぐらせ、チリチリさせた豚バラ肉にネギがたっぷり。
肉の脂やアクはすっかり落とされていて、さっぱりとした味が上品。

麺は細いです。
ばっさりとしたハリがあり、熱々の汁に浸かっていてもその食感がなくなることがないのがステキ。
ザクッと歯切れてばっさり散らかり口の中がにぎやかになる。粘ることがなく騒々しさがずっと続くがボクは好き。
醤油の味にたよらぬ汁。出汁は甘めで九州の味。ネギがシャキシャキ奥歯で歯切れ、そばの食感をひきたてる。
豚肉とそばを一緒にたべるとこれがまた旨い。下ごしらえで余分な脂を落としたとはいえ、噛めば脂がじゅわっとにじみ、おいしい豚の香りと脂の甘みがそばをおいしくしてくれる。

蒸し寿司も好きなんです。

底に小さな穴の開いた陶器の筒状の器に酢飯をいれて、錦糸卵に酢蓮を飾って、下からプシューッと蒸気を通す。
甘くて酸味の強い酢飯が、蒸気で味がまろやかになる。酢飯の中には甘辛く煮た刻んだしいたけ、かんぴょうが混ぜ込まれていて、甘くて軽い渋みがまじる。
この蒸し寿司の甘酸っぱさと甘くてうま味の強いそばの汁が混ざり合っていくのがたのしくて、ズルンスルスル、パクパクゴクリと食べていく。

そばの薬味についてくるのが柚子胡椒というのがしみじみ鹿児島的で香りや辛味が食欲さそう。

汁まで全部飲み干して、お腹も気持ちも満ちました。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?