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パリパリでとろとろ、焼いたフカヒレ麺

東京に戻ってオキニイリの頂上麺。

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東京駅のキッチンストリートという商業施設。飲食店だけが集まっていて、しかもどこもがサラリーマンがちょっと背伸びして使える値段。専門店で特徴のある料理を扱う店ばかり…、という食いしん坊にうれしい施設。
10年以上前に出来たときにはほとんどの料理が1300円。
フカヒレを使った煮込みそばがその値段で食べられるというのが画期的。今ではそれも1600円。
10年かけて300円しか値段を上げていないんだ…、と思うとなんだか頭が下がる。

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厨房の前のカウンターはステンレス張り。ひんやり、冷たく見えるけど、熱々の料理がやってくるにふさわしい舞台のように感じたりする。オモシロイ。
両手のひらをカウンターに置き、手から体をひんやりさせて熱々料理を迎える準備をつつがなく。
たのんだのは「ふかひれあんかけ焼きそば」です。
土鍋煮込みの汁そばが一番人気ではあるのだけれど、ボクはこの焼きそばがどうにもこうにも好きでしょうがない。熱々に焼いた陶器のお皿の上で柄付きの土鍋を傾ける。

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途端にジュジューッと湿った音がして蒸気が上がって器のまわりがかすんで見える。霞の向こうではバチバチ、騒々しい音がする。
とろみのついた大きな泡が器の縁に沸いては消える沸騰状態がしばらく続く。目の前で完成していく臨場感もゴチソウで、どうやったらこのフカヒレあんかけ焼きそばが、一番おいしく食べられるだろう…、と今日は注文する前からシミュレーションをしながらたのんだ。

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蒸した細麺を油をなじませ熱した中華鍋で、パリパリになるまで焼いて仕上げた焼きそばです。
揚げた麺はバリバリします。ところが蒸して焼き上げたものはパリパリサクサク。濁音の「バ」と半濁音の「パ」ではまるで違った食感。濁音麺は砕けて壊れる。けれど半濁音麺は奥歯をカサカサひっかきながら、奥歯でクシュッと潰れてく。

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しかも餡を吸い込みしばらくすると、麺が膨れてしっとりとまるで茹でた麺のようになめらかになる。
そのなめらかな麺もおいしい。
まるでスープが麺の形をなしているような不思議な食感がたのしめる。

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けれどパリパリサクサクの歯ざわりも捨てがたく、最後までその両方を味わうコトができないか…、と考えたのが今日の食べ方。
粘りの強いあんかけです。
だから餡がかからぬ部分があって、やってきた瞬間にその餡から無傷の部分の麺を持ち上げ、他の麺の上にのっける。もうこれ以上あんかけスープを染み込ませぬようして食べる食べ方なのだけれど、これがなかなかにいい工夫。

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餡が絡んでネットリとした麺はズルンと口の中へと飛び込んできて、口の中をふかひれスープの濃厚な味が満たして消える。麺の上にのっけてパリパリ感を残した麺を、あんかけスープにひたして食べると、そのパリパリがあんかけスープのポッテリ感を引き立て、なんとも味わい深い。

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レンゲにのっけて黒酢をかける。黒酢の酸味があんかけの濃厚味をスッキリさせて、コクがでるのがオモシロイ。白胡椒が用意されてて、それもたっぷり。すると甘みが膨らんでくる。少ないながらもフカヒレの繊維がしっかり入ってて、スベスベとしたハリある食感が贅沢感をかきたてる。
お腹も満ちてあったまり、レジのところに置かれてあった有料トイレのコインを1枚。今日は使わず財布にいれて、お守り代わりにいたしましょ。


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