災い転じて福となす!
今日も昼を蕎麦にしようと新宿西口の「渡邉」にくる。
新宿にはめずらしい、町のそば屋という風情。電気街のはずれにあって周りはにぎやか。なのにこの界隈はいい意味での町外れ感があってひっそり。
やってくるのは大人ばかりというのがステキ。
お店の真ん中にガラスで囲まれたそば打ち場があり、麺が次々打って切られる。
ボクの隣では昼から冷酒、蕎麦前たのんでたのしむ御仁。
神田や浅草のそば屋に座っているような気持ちになるのがまたステキ。
好きなメニューが2種類あって、ひとつは「そば三昧」というせいろを3種の薬味でたのしむ料理。もう一種類は「しらすそば」。しらすの風味やふっくらとした食感がそばをおいしくさせる逸品。
今日はしらすそばにしようと座って何気なく「しらすおろし」とお店の人に告げました。
やってきたのは釜揚げしらすとわかめに煮付けたしいたけが入った小鉢。しらすそばのサイドに添えられる具材で、蕎麦は別皿で提供するようになったのかしら…、と最初は思った。でもすぐにこれは蕎麦前用の「しらすおろし」でボクが思った「しらすそば」とは別物なんだと気がついた。
ボクの表情、気配からお店の人もそうじゃないかと思ったのでしょう…、「しらすそばを作り直してまいりましょうか」と気を使う。
とてもありがたいサジェスチョン。
けれどおいしいアイディアがひらめいた。
注文するときにどうしようかと迷った「そば三昧」を追加でたのめば「しらすそば三昧」を食べることができるじゃないか!
それで「そば三昧を追加で作ってくれませんか」とお願いした。
お店の人はニッコリ。
「粋な組み合わせでらっしゃいますネ」と言って厨房に「そば三昧を大至急で」と伝えるじゃない。
なんてステキな心づかい。
ボクの失敗はなかったことになったのでした。
そしてまもなくそば三昧がやってくる。
仕切りの器にそばが3山。
それぞれ切り海苔、鰹節、胡麻がぱらりとよそおわれていてネギにわさびに徳利にタレ。青のりをちらしたとろろと盛りだくさん。
海苔も鰹節も胡麻もそれぞれ香りが強く、にもかかわらずそばの風味が失せないほどにたくましいそば。ツルンとなめらか、噛みごたえもほどよくあってそのまま食べても味わい深い。
どっしりとしたタレに大根おろしやしらすをあわせ、わかめや煮付けたしいたけをとろろと一緒に味わうとそれぞれ味がしっかり整う。
注文したときの失敗が、このたのしい食べ方のきっかけになったと思うとなんとステキでありがたい。
よき日であります…、オゴチソウ。
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